千本釈迦堂の釿始め 2023年

1月2日に千本釈迦堂釿始め(ちょうなはじめ)が行われました。

千本釈迦堂 釿始め

新年には○○始めという行事が続いていきますが、その中でも1月2日に行われるが千本釈迦堂の釿始め(ちょうなはじめ)です。以前は広隆寺で行われていましたが、2022年からは千本釈迦堂に場所を変えて行われています。

千本釈迦堂 釿始め

釿始めは、大工の仕事始めの意味を込め、加えてその年の安全を祈願して行われます。大工道具には刃物を使うものが多く、中でも釿(ちょうな)は「手斧」とも書いて、石器時代から使われたとされる古い道具。手で体の方へと引っ張って木を削ります。つまり一歩間違うと自分を傷つけてしまう特に危険な道具。実際に昔の大工さんの脛には、誤って切ってしまった傷の一つや二つはあったそうです。この神事の名前が、鋸(のこぎり)始めでも槍鉋(やりかんな)始めでもなく、釿(ちょうな)始めであるのは、怪我をすること

千本釈迦堂 釿始め

広隆寺の釿始めは、番匠保存会の皆様によって奉納されていて、特徴的なのは「きやり音頭(木遣音頭:京きやり)」があることです。京都市の無形民俗文化財に指定されている伝統的な歌が、釿始めの最初と最後に歌われます。江戸時代には、「聚楽」「川東」「六条」「城下」などの大工組が、それぞれ特色ある木遣音頭を伝えていたとされますが、現在では二条城界隈の「城下」地域の大工衆を中心にした番匠保存会が、その保存・継承に努めておられます。なお、番匠とは御所務めの大工のことをいいます。

千本釈迦堂 釿始め

千本釈迦堂は、京都の中心部では最も古いという安貞元(1227)年に建立された本堂が現存していることでも知られ、大工の棟梁に助言をした”おかめさん”のエピソードもあります。そうした場所だからこそ、釿始めが移されたのでしょう。例年、節分でも同じ番匠保存会の皆様によって木遣音頭が奉納されます。

千本釈迦堂 釿始め

釿始めでは、一本の大きな柱を削り・仕上げる工程を、様々な昔ながらの道具を使う所作をもって表します。今回は私は途中からで直接は見ていませんが、広隆寺の時と同じだとすると、工程は墨矩の儀(曲尺と墨指を用いて材木の寸法をとる)、墨打の儀(寸法に従い、墨壷の糸を繰りだして直線を引く所作)と進み、次に釿(ちょうな)が登場。ここでは実際に木材に釿が打ち込まれると、「カーン カーン」と乾いた音が響きます。最後に槍鉋(やりかんな)で表面を整える所作を行って終了といった流れかと思います。

千本釈迦堂 釿始め

儀式が終わると、番匠保存会の皆様によって、京きやりの祝い歌が奉納されます。独特の節でそしてよい声で歌いあげて行きました。途中で槌で木を叩く所作などもありました。こうした文化は移りゆく時代とともに失われて行きやすいものですが、守られて行くためには、披露する場があるというのも大切なことなのでしょう。今後も、釿始めが長く続いてほしいと思います。全ての奉納が終わると、参列者の皆様にお餅が配られ、私もひとつ頂きました。

千本釈迦堂 釿始め

ガイドのご紹介

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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