三河内曳山祭 宵宮 2023年

5月3日に与謝野町で三河内(みごち)曳山祭宵宮が行われました。

三河内曳山祭 宵宮

5月の連休に丹後の与謝野町の「三河内(みごち)曳山祭」を見に行ってきました。「丹後の祇園祭」とも称される倭文(しどり)神社の例祭で、神社には織物の神様「天羽槌雄神(あめのはづちおのかみ)」が祀られ、周辺は”丹後ちりめん”の産地としても知られます。町内巡行では見事な山屋台が登場して風情ある街並みを進み、京都府登録無形民俗文化財にも登録されています。

三河内曳山祭 宵宮

祭は3日夜が宵宮、4日に町内巡行があり、今回は両方を見に行ってきました。それぞれ風情が大きく異なるため、祭を知るには両方を見る必要があると感じました。特に4日の巡行では神様に大きな声で呼びかける「神招ぎ(かみおぎ)」という珍しい場面があり、また次回以降でご紹介できればと思います。

三河内曳山祭 宵宮

倭文神社は創建が奈良時代の和銅年間とされる古社で、平安時代の延喜式神名帳にも載ります。例祭は宝永5(1708)年に始まったと伝えられ、丹後ちりめんの隆盛とともに祭の規模も山屋台も豪華に盛大になって行ったといいます。古くは旧暦8月朔日(1日)のお祭りでしたが、昭和初期に4月の春祭となり、加悦谷(かやだに)祭として開催されてきましたが、近年は独立し、5月2日に神幸祭、3日に宵宮、4日に例祭行列、余興巡行、還幸祭が行われています。三河内(みごち)の街並みは風情があって美しく、「どでっさっさ!」の掛け声も印象的で、大変面白いお祭りだと感じました。

三河内曳山祭 宵宮

祭りでは6つの町内がそれぞれ、大幟(おおのぼり:梅谷町)、神楽殿(かぐらでん:神楽組)、八幡山(はちまんやま:中組)、浦嶋山(うらしまやま:上之町)、倭文山(しどりやま:倭文町)、春日山(かすがやま:表町)を出し、3日の宵宮では楽台6基と同じ町内が出す子供屋台6基を合わせて12基が例年は出るとのことですが、今年は神楽殿が子供屋台だけのようでした。

三河内曳山祭 宵宮

宵宮では、提灯が灯された楽台や子供屋台の上で太鼓の音が打ち鳴らされて、時折盛り上がる「どでっさっさ!」の掛け声が夜の街に響いていました。経路は狭い道が多いのですが、曲がる際には進む勢いのまま強引に向きを変えるやり方と、楽台の下、中央にある車輪を支点となる板状の台に乗せて、その場で向きを変えるやり方とがあり、興味深かったです。

三河内曳山祭 宵宮

このお祭りの特徴として、宵宮の巡行と翌日の巡行とでは、出ている屋台が異なる点が挙げられます。すなわち、3日の宵宮用の楽台、4日の巡行用の出し物(山屋台、神楽殿、大幟)、子供屋台と合計3台が各町内にあり、宵宮では宵宮用の楽台と子供屋台が、4日の巡行では巡行用の出し物と子供屋台が進みます。そのため、宵宮と翌日の巡行とでは、そもそもの雰囲気が違っています。ご興味のある方はぜひ両方をご覧ください。

三河内曳山祭 宵宮

また、地元の方以外にとっては事前情報に乏しいお祭りでもあり、2023年現在はインターネット上には具体的な巡行経路や駐車場の有無などの情報が見当たりませんでした。今回私も行き当たりばったりで訪れましたが、運よく見ることができました。現地で入手したA4サイズのパンフレットに詳しい経路が載っていましたので、今後のご参考に引用させて頂きます。

三河内曳山祭

宵宮では各町内で会所飾りがあり、翌日の巡行で山屋台に乗せられるご神体人形などが祀られていました。少し早い時間に行ってじっくりご覧になるのもよいでしょう。春日山は武甕槌神(たけみかづちのかみ、鹿島大神)、八幡山は応神天皇(誉田別命)というのはわかりやすいですが、浦嶋山は浦嶋太郎ではなく愛宕の神(火之迦具土神:かぐづちのかみ ※実際には勝軍地蔵か)と稲荷の神(保食神:うけもちのかみ ※稲を担った老人の姿)という組み合わせ。

三河内曳山祭 八幡山

これは明治25年に三河内村の出村町(愛宕山)と縄手町(稲荷山)が合併し、新しく上之町(浦嶋山を出す町内)となったためだそうです。一方で、4日の巡行で飾られる水引は、丹後の宇良神社(浦嶋神社)に伝わる「浦嶋明神縁起」で、浦嶋太郎の要素も取り入れられていました。

三河内曳山祭 浦嶋山

宵宮の巡行は19時頃に始まり、最後の打別れの万歳三唱は22時過ぎという長丁場。夜遅くなっても激しい太鼓や掛け声は衰えることなく響いていました。打別れ後に各町内へ戻る時間はさらに遅くなります。実は私は途中で離脱しようと思っていたのですが、お祭りのあまりの面白さに、結局町内に戻る最後の場面まで追いかけ、23時前まで見させて頂きました。

三河内曳山祭 宵宮

何といっても祭りを盛り上げる「どでっさっさ!」の掛け声は印象的でした。『どでっさっさ! どでっさっさ! もひとつおまけ どでっさっさ! またまたおまけ どでっさっさ! 最後のおまけ どでっさっさ! 最後の最後 どでっさっさ! どでっさっさ! どでっさっさ!』と声を枯らして続くリズムは癖になり、こちらも大いに楽しませて頂きました。宵山の様子は動画もありますので、ぜひご覧ください。翌日の巡行の様子は改めてご紹介できればと思います。

ガイドのご紹介

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: yosimura1.jpg

京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン を募集中!

「まいまい京都」さんで『【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン』を募集中。毎月第2水曜日20:00~21:30頃の配信と、月1回程度のサロンメンバー限定ツアーにご参加いただけます(ツアーは別途参加費が必要です)。詳細はリンク先をご覧下さいませ。

散策・講座のお知らせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP