向日神社の風景

少し前に向日神社を訪れました。

向日神社

向日神社は、延喜式内社としての古い由緒を持つ神社です。創建は長岡京ができるより前の718年と伝わります。向日山という小高い山にあり、長い参道が特徴で、桜と楓の時期には大変美しくなります。ご祭神の第一は、五穀豊穣の神である向日神(むかひのかみ)です。向日神は、大歳神(おおとしのかみ)の御子、御歳神(みとしのかみ)の別名で、向日山に降臨されたため、向日神と呼ばれるようになりました。

向日神社

この「向日」という字は、文字通り「日に向かう」と解されていて、長岡丘陵の南端にある向日山は、日が東から昇ってから西に沈むまで光を浴び続けるため、そのように呼ばれるということです。この向日山には、かつて祈雨・鎮火の神である火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)祀る火雷神社があり、向日神社を上社、火雷神社を下社と呼びました。ただ、下社は荒廃したため1275年に上社に合祀され、現在の向日神社には向日神・火雷大神に加え、火雷大神の后という玉依姫命(たまよりひめのみこと)、下社を創建したという神武天皇も祀られています。

向日神社

向日神社の本殿は室町時代の応永25(1418)年から4年をかけて建造され、三間社流造という室町時代の神社建築の代表例として、国の重要文化財に指定されています。こうした古建築の本殿であることから、東京にある明治神宮の本殿のモデルともなり、明治神宮の本殿は向日神社の本殿を1.5倍のスケールにして建てられているそうです。現在、日本で最も初詣の人出があるのが明治神宮ですので、そのルーツとは驚きです。

向日神社の南側からの眺め

神社の立つ向日山は「勝山」とも呼ばれています。豊臣秀吉が朝鮮出兵のため前線基地の肥前名護屋城へと向かう際、向日神社で休憩をしました。秀吉が社人に社殿のある山の名前を尋ねたところ、「勝山」と返し、秀吉は出兵の門出にふさわしいと喜んだということです。このように、様々な面白い歴史を秘めた向日神社。実は境内の北には元稲荷古墳という乙訓地域でも古い時期の古墳があり、境内の南には向日市天文館もあります。その先の南側からは眺望が抜群。この時期は参道の緑が綺麗でした。機会がありましたら訪れてみて下さい。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

散策・講座のお知らせ

「過去の講座動画」の販売を再開しました!

【散策を受付中!】
6月4日(火)13時30分~16時頃
比叡山の借景を望む正伝寺と緑が包む神光院へ
6月10日(月)13時~15時半頃
伏見稲荷大社の田植祭と龍の像が建つ伏見神宝神社
6月14日(金)13時~16時頃
1万株を超えるアジサイが咲く「さすてな京都」と馬の神様「田中神社」へ
6月19日(水)13時30分~16時頃
【全額寄付】京都の過去の大地震を知ろう!いま注目の花折断層を歩く

【5月の講座 見逃し配信を受付中!】
奥深い京都へのいざない!マニアック京都講座
その9 「京都 惟喬親王ゆかりの地」

6月:愛宕神社と愛宕山

【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン を募集中!

「まいまい京都」さんで『【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン』を募集中。毎月第2水曜日20:00~21:30頃の配信と吉村のコースの抽選が当たりやすくなります。詳細はリンク先をご覧下さいませ。

PAGE TOP