貴船神社の貴船祭　神輿の巡行

6月1日に貴船神社の貴船祭が行われました。神輿の様子です。

京都では桜シーズンの終わりころから毎週のように大きな神社の祭りが続いてきました。その最後ともいえるのが、貴船神社の貴船祭です。かつては旧暦の4月1日と11月1日に行われ、特に4月の祭りでは神職や参詣者がいたどり（虎杖）摘んでその優劣を競う競争を行っていたため、別名「いたどり（虎杖）祭」と呼ばれていました。

また、貴船神社はかつては上賀茂神社の摂社であったため、神事も上賀茂神社の神職によって行われていました。明治時代になって、2回の祭りを合わせて6月1日に行うことが定められ、現在に至っています。

貴船祭では、午前中の11時から本殿前での神事が行われ、午後から神輿が貴船界隈を練り歩きます。貴船神社の近くには氏子が少なく、その神輿も小ぶりなのが特徴。貴船神社の赤い灯篭が並ぶ参道を神輿が下りてくる場面は祭りのハイライトともなっています。ちなみに祭りの前後だけ、参道の真ん中にある手すりが外され、すっきりとした参道の写真を撮ることもできます。神輿の担ぎ手も、貴船のみならず鞍馬、出町柳周辺、伏見の神輿会が加わっています。

私が貴船に訪れた時にはすでに神輿は参道を下りて、まずは南の氏子地域へと巡行している最中でした。先述のとおり、氏子の数が少ないため神輿を担ぐ人たちは各所からの応援も入っているそう（これは他のお祭りでもそうですが）。緑の美しい貴船の山あいで、金色の神輿が担がれる様子はやはり絵になります。

神輿は貴船を南へと進み、その後再び戻ってきて、奥宮へと向かって神事を行います。今年は土曜日で交通が混雑していたこともあってか、到着が15時半頃となりました。到着後にすぐさま神事となりました。

神事が終わると「お千度」が行われます。一般の参列者も加わって、船形石の周りを忌み串を持って回り、1回り毎に石の窪みに串を置いていきます。こうすることで特に子どもの健やかな成長を祈願するのだとか。大人の参加もでき、お千度が終わるとお茶を頂けます。この船形石は、大阪から玉依姫がこの地まで川をさかのぼってきた時に乗った黄色の船（黄船）を囲ったものとされ、実際に船の形に積み上げられている不思議なものです。

お千度に続いて、餅まきが行われます。ただ、この頃になると次の出雲神楽が行われる場所を多くの方が囲っていますが、お餅は時折遠くまで投げて下さるので、運の良い方はゲットできることもあります。私も出雲神楽を待ちながら運よく頂くことができました。出雲神楽の様子は次回以降のブログでご紹介します。

出雲神楽が終わると神輿の出発式があり、神輿が本宮へと戻っていきます。担ぎ手たちも最後の神輿振りとあって、道中のお店の前で勇壮に差し上げなどを行っていました。

神輿は時間をかけて本宮に戻ると、しばしの休憩ののち、石段を登っていきます。先頭には綱が伸ばされ、一般の方もこの綱を引いて階段を昇ることができました。門をくぐり、本殿前に神輿を安置するとすぐさま神事が始まります。担ぎ手たちもひと段落といったところでしょうか。個人的には2013年以来11年ぶりに貴船祭を見に来ることができました。終バスがなくなり、駅まで歩いて帰ることにはなりましたが、神輿は小ぶりながらも見物人との距離が近く、勇壮さを感じることができました。

ガイドのご紹介　吉村晋弥

京都検定1級に7年連続の最高得点で合格（第14回合格率2.2％）、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都（BS11）「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。