東山の大豊神社には狛ねずみなど様々な動物の像があります。
大豊神社といえば、狛犬ならぬ狛ねずみが有名です。狛ねずみは大国主命(オオクニヌシノミコト)を祀る大国社の前に鎮座しています。古事記によると、大国主が若かりし日(オホアナムヂと呼ばれていた頃)にスサノオの命で野原へ矢を探しに行った時、野に火を放たれて、大国主はピンチに至ります。そこにネズミが現れて「内はホラホラ 外はスブスブ(内側は空洞で、出入り口は狭い)」と、地面の下の空洞を示唆し、その意味を理解して空洞に入った大国主は無事に炎をやり過ごすことが出来ました。しかもネズミは探していた矢まで見つけてきてくれたのです。このようないわれから、大国主とネズミは深いつながりを持っています。
向って左の狛ねずみが持つ玉のようなものは、子宝や長寿を表す水の器。「ねずみ算」でもネズミの子の多さは知られています。向って右の狛ねずみは巻物を持ち、学問を表わしています。恐らく神話に出てくるような、ネズミの機転・智恵から来ているのでしょう。
また、本殿前には狛巳の像も。ヘビは脱皮をすることで怪我を治してしまうといい、西洋ではアスクレピオスの杖に巻き付く姿が知られるように、医薬医療のシンボルとして信仰されてきました。本殿には医薬の神とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られている関係でヘビの像があるそうです。神社では治病健康長寿・若返り・金運の象徴として信仰されています。
本殿から左側に進むと、愛宕社と日吉社があり、それぞれ狛鳶(とんび)と狛猿の像があります。トンビは羽の生えた天狗の象徴でもあり、空から火難を守護する意味合いがあるそう。猿は日吉社の遣いとして知られ、魔が去る(神猿)として信仰されています。
他にも一般的な狛犬や稲荷社の狐像などが見られる境内。様々な動物が神様のお遣いとしてお祀りされているユニークな場所です。哲学の道沿いに行かれる際には足を延ばしてみてください。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥
京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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