曼殊院 門前の紅葉

洛北の曼殊院を訪れました。紅葉も色づき始めており、特に門前の紅葉が綺麗でした。

曼殊院 11月21日

曼殊院は、天台宗の門跡寺院で、五箇室(ごかしつ)門跡のひとつに数えられます。他の4つは、青蓮院、三千院、妙法院、毘沙門堂です。創建は、最澄が比叡山に建立した一堂に始まり、明暦2(1656)年、良尚法親王のときに現在地に移り、建物や庭園が整備されました。明治初期までは北野天満宮の管理職(別当)も兼務していた関連で、門前には天満宮も祀られています。

曼殊院 11月21日

良尚法親王は、桂離宮を整備した八条宮智仁親王の子で、兄は智忠親王です。良尚法親王も芸術面で秀でた方であったため、曼殊院に残る書院には、桂離宮とも共通する部分があるのが特徴。瓢箪の形をした引手や富士山形の釘隠し、表裏の菊の彫刻がほどこされた欄間など、細部にまでこだわりを持って造られています。良尚法親王自身も書や絵を残しており、そのセンスの高さには感嘆させられます。

曼殊院 11月21日

書院が面する深山と海洋を表現した庭園は趣があり、据えられたフクロウに似た彫刻があしらわれた手水鉢も名高いです。4月下旬にはキリシマツツジも綺麗で、今の時期は紅葉も彩ります。寺宝や襖絵も貴重なものが多く伝わっています。境内は基本的には静かに楽しめるのも特徴です。

曼殊院 宸殿

2022年に再建された新しい建物が「宸殿(しんでん)」です。明治の初めまでは宸殿があり、本堂として使用されていましたが、明治5年、京都府療病院(現・京都府立医科大学付属病院)の建設に際し、建物が寄付されて失われました。悲願ともいうべき再建された宸殿の姿には感動を覚えます。

曼殊院 宸殿の庭

内部には本尊の阿弥陀如来像や、北野天満宮から移された十一面観音像、元三大師像などが祀られ、本堂として使用されています。宸殿前に整備された庭園は「盲亀浮木(もうきふぼく)之庭」と名付けられた枯山水で、100年に1度、息継ぎのために水面から顔を出すという亀が、たまたま流れて来た穴の開いた浮き木(流木)に頭がすっぽりとハマるというお話をもとにし、非常に低い確率をイメージさせることで、人間に生まれることや仏教と出会ったことの奇跡、難しさを説いています。

曼殊院 紅葉

今年は紅葉が遅れていますが、勅使門前などの紅葉は綺麗になってきています。境内の紅葉もこれからピークを迎えてくるでしょう。ぜひ、じっくりと境内を訪れてみて下さい。

曼殊院 紅葉

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

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京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

散策・講座のお知らせ

【散策を受付中!】
11月26日(火)13時30分~16時頃
お抹茶と紅葉を楽しむ妙心寺・大法院と国宝の阿弥陀如来像が迎える法金剛院へ

【散策を受付予定!】
12月10日(火)午後 → 行先き未定
12月14日(土)午後 → 山科義士まつり
12月31日(火)時間未定 → 大晦日散策やります

【紅葉講座の見逃し配信を受付中!】
京都の紅葉講座 2024年 吉村のおすすめスポットを解説!

【「丹後七姫講座」を開催中!】 ※原則第2金曜日19時30分~
【丹後七姫講座】丹後の歴史を彩る女性たちの物語

【現地+配信の講座を受付中!】
奥深い京都へのいざない!マニアック京都講座
10月「嵯峨野の社寺(宝筐院、厭離庵など)」、12月「松ヶ崎と妙法の送り火」

【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン を募集中!

「まいまい京都」さんで『【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン』を募集中。毎月第2水曜日20:00~21:30頃の配信と吉村のコースの抽選が当たりやすくなります。詳細はリンク先をご覧下さいませ。

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