二尊院の青もみじと和泉明神社

先日、嵯峨野の二尊院を訪れました。

二尊院

二尊院は、天台宗の慈覚大師・円仁によって平安初期に創建された寺院で、正確には小倉山二尊教院華台寺といい、鎌倉時代の釈迦如来像、阿弥陀如来像の二尊をお祀りするところから、二尊院の名がよく知られています。入り口の立派な総門は、伏見城の薬医門を移築したものと伝わり、そこから続く一直線の参道は「紅葉の馬場」と称されて、晩秋には多くの参拝者で賑わいます。

二尊院

緑の時期も木々に囲まれた境内を静かに歩くことができ、京都らしさを感じられる場所のひとつです。法然上人ゆかりの寺でもあり、詳しくは省略しますが、二尊の本尊は善導大師が説かれた二河白道(にがびゃくどう)の話が元になっているといいます。

二尊院

法然上人の湯上りのくつろいだ姿を描いたという「足曳きの御影」も有名で、絵師が法然上人が足を出した姿をこっそりと描いたものの、法然上人が念じると描かれた足がひっこんだとの伝説があり、模写を本堂で目にすることができます。墓地には、角倉了以をはじめとする角倉家や、伊藤仁斎・東涯の墓があるなど、見どころが多い寺院です。

二尊院

お時間と体力が許せば、階段を上った先の墓地や藤原定家の時雨亭跡の候補地まで足を延ばしてみてください。時雨亭跡は定家が百人一首を選んだ場所とされますが、その場所は二尊院のほか、常寂光寺や厭離庵が候補地で場所が確定してはいません。二尊院の時雨亭跡とされる場所は眺めがよいです。

二尊院 和泉明神社

また、今年(2025年)の4月の末には、弘法大師・空海が中国・唐から持ち帰ったという小豆を、小倉山のふもとで栽培し、砂糖で煮詰めて”小倉餡”として朝廷に献上していたという和泉和三郎(いずみ わさぶろう)を弘法大師とともに祀る「和泉明神社(いずみみょうじんしゃ)」が「小倉餡発祥之地」の石碑の隣にできました。まだ銅板葺きの屋根の輝きが綺麗でした。社殿は総木曽ヒノキで造られているそうです。あんこ好きの方は是非ご参拝ください。境内入り口にある甘味処の「四季庵」さんでは、おぜんざいもいただけますので、開いている日にはおすすめです。

二尊院 小倉餡発祥之地 和泉明神社

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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6月29日(日)13時30分~16時頃
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