
興聖寺は、宇治川の右岸にある寺で、曹洞宗の宗祖・道元が深草に開いた寺の名を受け継ぎ、江戸時代の初めに現在地に再興されました(道元が開いた興聖寺は一度廃絶しています)。再興したのは、徳川秀忠の腹心だった永井尚政です。井尚は秀忠の”近侍の三臣”の一人に数えられ、のちの老中に相当する役を務めていましたが、秀忠が亡くなり家光の時代になると政権の中央から離れ、関東の古河(下総国)から10万石の大名として淀藩に赴任しました。

尚政は、道元禅師ゆかりの興聖寺が廃れて廃れてしまったことを惜しみ、父母の供養も兼ねて新たな興聖寺を復興しました。幕府の重職を担った尚政の力か、興聖寺の本堂には伏見城の部材が使われています。廊下の縁側には血天井があり、現在は具体的な個所には白くマルが付けられて分かるようになっています。

長い参道は「琴坂」と呼ばれ、坂を流れる水の音が、美しい琴の音色にも聞こえるというところから名付けられました。実際に参道歩いてみると心地よい音が響いています。カエデ等の木々の緑が美しく、夏の時期でも涼しさを感じることができます。

5月末は境内を皐月の花が飾ります。皐月は普段の庭の景色を大変華やかに彩り、風景を変えてしまう花です。一方で見頃の見極めが難しく、見ごろの時期に訪れることができたのはラッキーでした。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
散策・講座のお知らせ
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6月10日(火)13時~15時30分頃
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5月28日→千本釈迦堂と西陣の社寺、6月25日→城南宮と深草・藤森
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【曼殊院】桂離宮の美学が息づく名刹、宮廷の風雅を詰め込んだ庭園と建築美
6月1日(日)9時15分~12時頃
【鷹ヶ峯】本阿弥光悦が築いた芸術の拠点、洛北に花開いた光悦村へ
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【小野】貴族たちの恋の里、小町伝説の随心院から花菖蒲咲く勧修寺まで
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【三室戸寺】2万株が咲く幻想の“あじさい寺”へ、紫絵巻の大庭園と日本最古の国宝本殿
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【大原三千院】苔に覆われた“東洋の宝石箱”、金色に輝く国宝三尊を拝観
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