伏見 水辺の風景

伏見を訪れました。宇治川派流沿いはアジサイ(紫陽花)が残っていました。

宇治川派流(濠川)

近畿地方など西日本で6月27日に梅雨明けが発表されました。まだ速報値で9月頃に再度見直しが入りますが、このまま確定すれば1951年の統計開始以降で最も早い梅雨明けとなります。ただ、2022年も6月28日に梅雨明けが発表されましたが、その後梅雨が戻って結局7月23日の梅雨明けだったと訂正されたこともあります。いずれにしても、目先の京都は35℃を超える猛暑日となりそうで、熱中症には厳重に警戒をしてください。

伏見みなと広場

伏見はかつては宇治川から淀川を経て大阪と京都を結ぶ重要な川みなととして栄え、往時は大名が宿泊する本陣が4軒もあるのを始め、宿場町としても大いに賑わいました。江戸初期には高瀬川も開削されて、人や物が集まる重要な場所だったのです。明治以降は鉄道へと人の運送は移っていきますが、疏水が合流したこともあり、物資輸送の需要は引き続きありました。

三栖閘門

しかし大正時代の水害の後、宇治川に堤防が築かれると、伏見の疏水と宇治川との間に水位差が生じてしまったため、それを解消して舟を行き来させるために、パナマ運河方式の三栖閘門が昭和4(1929)年に完成しました。二つの水門ではさまれた区画で水位を上下させる仕組みで、当時は年間2万隻以上の貨物船が通航していたそうです。

三栖閘門資料館

ただ、時代の流れもあって陸上運送が主流になると、昭和37年に舟運が廃止され、さらに洪水対策のため宇治川改修や天ケ瀬ダムの完成により宇治川の水位がさらに低下し、三栖閘門も役割を終えました。その後、老朽化のために撤去が検討されたこともあったそうですが、2000年に復元、再整備され、旧操作室は三栖閘門資料館としてその歴史を今に伝えています。

アジサイ

十石舟では、この三栖閘門をくぐって舟が入り、一旦舟を下りて三栖閘門や資料館を見学する時間も設けられています。南の閘門脇からは宇治川を望め、現在は水位が低くなっていますが、舟が行き交った往時に思いを馳せることができます。ちょうど6月は京橋にかけての宇治川派流沿いのアジサイが綺麗です。そろそろ終盤ですが、まだ目にすることができました。

アジサイ

大阪・関西万博にあわせて、今年春に三栖閘門の外側の宇治川沿いに整備された「伏見船着場」があります。5月に「淀川舟運フェスティバル」として運行が行われた日もありましたが、八幡市の背割堤船着場までが所要1時間です(3000円)。背割堤の桜シーズンであれば観光船が動かせる可能性はありそうです。さらに1便だけ試験運行された大阪十三(じゅうそう)までの船は背割堤から所要3時間でした。仮に伏見から十三だと休憩なしで4時間かかる計算です。果たして船の運航は現実的なのでしょうか。万博はすでに始まって久しいですが、正式運行の話は一向に聞こえてきません。いったいどう活用されるのでしょうか。今後の動きに注目です。三栖閘門資料館も内部に大きなタッチパネルが設置され、無人となるなど、変化がありました。周辺の「伏見みなと広場」の工事はまだ完了していません。

伏見船着場

さて、伏見の観光で人気なのが「伏見十石舟」。宇治川派流・疏水沿いを進み、特に春の桜やアジサイの時期おすすめです。料金は1900円で、所要時間は往復で約55分、乗り場は月桂冠の南、長建寺の向かいです。詳細はホームページをご確認下さい。大阪までは船で行くことができませんが、伏見の中で船を楽しむことはできます。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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