尊陽院の”祈りの天井画”と江戸時代の天井龍

本法寺の塔頭・尊陽院では、美しい”祈りの天井画”と江戸時代に描かれた天井龍、さらに十時梅厓による襖絵を目にすることができます。

尊陽院 十時梅厓の襖絵

本法寺の塔頭が尊陽院。1575年に創建されたと伝わり、現在のご住職夫妻は平成19(2007)年に空き寺だった尊陽院に入られ、徐々に復興をされてこられたそう。現在は御朱印が人気で、水子供養や永代供養墓も受け付けておられます。

尊陽院 祈りの天井画

堂内には美術家のmais(マイス)さんにより「祈りの天井画」が描かれ、2022年から公開されています。円相に花々が描かれたカラフルな色彩の絵の中で目を引くのがアサギマダラの姿。

尊陽院

尊陽院の理恵尼僧と蝶とのご縁や、遠く南西諸島まで旅をするアサギマダラの生態からモチーフに選ばれたそうで、尊陽院のホームページの記載をお借りすると「それは訪れる人の痛みや苦しみを優しく舞いながら救い上げ、花々と共に昇華へと導きます。祈る思いは時に力強く、時に優しく、大きな羽で浄化の風を生み出します。」とのことでした。じっくりと絵を眺めながら穏やかな時間を過ごせる場所だと思います。これからフジバカマ(藤袴)の花が咲くと、京都にもアサギマダラが飛んできてくれるでしょう。

尊陽院 鶴沢探泉筆の天井龍

また、祈りの天井画の奥の天井には、江戸時代の水墨画の龍の絵が。1800年代初頭に鶴澤探泉によって描かれたことが、東北大学の杉本欣久教授の調査で確定されました。鶴澤探泉は狩野派の流れをくむ鶴澤派4代目で、船鉾の後ろに付く舵にデザインされた飛龍の螺鈿細工の下絵を描いた人物でもあります。角に「法眼探泉筆」の文字も確認できます。龍の天井画は傷みもあるため、来年4月以降で修復に入る予定とのこと。ぜひ、こちらもお見逃しなくご覧ください。

尊陽院 十時梅厓の襖絵

また、現在は十時梅厓(とどき ばいがい)の筆による襖絵も公開されています。十時梅厓は江戸時代後期の人物で、趙陶斎に書を習い、皆川淇園・池大雅に絵を習い、小澤蘆庵に和歌を習ったという文化人で、儒官として伊勢長島藩にも招かれた人物です。襖絵は南画風の絵や、見事な書が目を引きました。江戸後期の見事な作品を間近で見にできるお寺です。

尊陽院 十時梅厓の襖絵

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算11回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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