9月21日まで、平成女鉾清音会(さやねかい)の「鉾」が、京都市役所前で10年ぶりに登場しています。

平成女鉾清音会(さやねかい)は、祇園祭のお囃子を女性のみで奏でる団体です。祇園祭の伝統文化を継承しつつ、これからの歴史を切り拓くために1996年に発足しました。約30人の女性囃子方を中心に、祇園祭参加を目指し、日々練習を重ねておられます。京都各地で奉納演奏を行っており、その姿を目にしたことのある方もおられるでしょう。

平成女鉾清音会は、文字通り「鉾」をお持ちで、この度設立30周年記念事業として、10年ぶりの「鉾建て」が京都市役所前で行われています。20日・21日も祇園囃子の披露や鉾への搭乗が時間帯によって行われます。夜のお囃子もあります。22日は解体です。

10年前にも目にしましたが、本格的な鉾にも引けを取らないたいへん立派な姿です。日が暮れて駒形提灯が灯る様は、まさに本物です。そして鉾の上では美しいお囃子の演奏が披露されました。

笛や鉦、太鼓の音が響く様子は、祇園祭が目の前で行われているかのようです。実際の祇園祭と違うのは「そーれ」などの掛け声が女性であるということ。現在の祇園祭は主に男性によって担われており、山鉾の引き手は男性限定ですし、長刀鉾などは女性の鉾への搭乗はできません。平成女鉾清音会は、女性であってもお囃子に参加したい、祇園祭に参加したいと思われている皆様によって担われています。

歴史的には、江戸時代初期の洛中洛外図屏風には女性が鉾の上に乗っている様子が描かれているとされ、祇園祭が女人禁制となったのは江戸以降のこととされています(ただし洛中洛外図屏風は、男性が女装をしてるのだとの説もある)。そして近年では、2001年から函谷鉾と南観音山で女性の囃子方が男性に交じって鉾に乗ることが解禁されています。

今回10年ぶりに披露された女鉾。「女性だけの鉾が祇園祭に参加する」というのは、女性の全面参加という問題だけでなく「新しい鉾が加わる」という別な問題も解決せねばなりません。人びとをあっと驚かせる「風流(ふりゅう)」の精神でいえば、女性の鉾が加われば、まさに現代の風流ではないかとも思いますが(女性が多い花傘巡行にまずは参加されても大いに声援を受けるようにも感じます)、一筋縄ではいかない難しい議論が様々にあることでしょう。

ただしかし、今現在の祇園祭には参加できずとも、実際にこうして素晴らしい女性の鉾があり、そしてその姿を30年にも渡って受け継ぎ、発展させてきた方々がおられることも事実です。いつかこの美しい鉾とお囃子が、より多くの方々の声援を受けて都大路を進む日が来てくれたらと思いました。10年ぶりの「平成女鉾」。お時間のある方は、ぜひご覧ください。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算11回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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