神泉苑からの中秋の名月

神泉苑から美しい中秋の名月が望めました。

神泉苑

2026年は9月25日が中秋の名月でした。中秋の名月は、旧暦8月15日の月のことで満月と一致しないことも多く、今年の満月は9月27日と二日も違っています。神泉苑の観月会は、今年は土曜日の26日に行われましたが、前日の中秋の名月の日は、雲が厚いながらも、時折美しい月を望むことができました。

神泉苑

神泉苑は平安京造営時に設けられた天皇の禁苑、すなわちプライベートのお庭で、どんな日照りの時にも湧き出る水が枯れることがなかったところから、神聖なる泉の苑池、神泉苑と呼ばれました。そのため、神泉苑は雨乞いの地ともなり、空海と守敏の雨乞い対決や、神泉苑で雨乞いの舞を舞った静御前(源義経に見初められたのはその後の「住吉での雨乞い」とも)など、様々な物語も生んでいます。現在の神泉苑は、二条城のお堀の造営に伴って縮小され、二条城の南にその名残の池が残されています。

神泉苑

池に浮かぶ善女竜王社には真正面からも行けますが、朱色の法成橋に回り込み、願いをひとつだけ思いながら渡って善女竜王社に参拝をすれば、願いがかなうとも言われています。神泉苑を象徴する美しい橋で、背景に月を望む光景も絵になります。観月会の日を外す方が、美しい月を静かに望むことができるでしょう。

神泉苑

法成橋の西側、本堂の脇には、江戸時代の俳人で画家でもあった与謝蕪村の「名月や 神仙苑(神仙苑)の 魚(うお)おとる(躍る)」の句碑が建っています。句の脇には「雨のいのりのむかしをおもいて」と書かれており、蕪村は雨乞いの地としての神泉苑を思っていたことがわかります。

神泉苑

この日も時折魚が池からジャンプして「ドボン」と音を響かせました。これぞ「魚躍る」だなぁと、蕪村の句を追体験した気持ちになります。蕪村の没年は1784年ですが、その4年前に刊行されている都名所図会で神泉苑を見ると、当時は法成橋はありませんでした。神泉苑から望む名月も、やはり時代とともに違っていきます。今年は観月祭には足を伸ばせませんでしたが、見事な月を楽しませていただきました。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算11回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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