久多の花笠踊 2025年 上の宮神社から大川神社へ

8月24日に京都市の北部にある久多花笠踊が行われました。

花笠踊 切子灯籠

10年ぶりに左京区久多(くた)の花笠踊を見に行ってきました。久多は京都市ながら滋賀県に近く、京都市街地からは車で1時間20分ほどかかります。京都市は琵琶湖よりも広い面積があるため、こうしたエリアもあるのです。久多の花笠踊は、京都検定のテキストにも掲載されている、風流(ふりゅう)灯籠踊です。行われるのは8月24日で、5月5日のお祭りで志古淵神社に五穀豊穣を祈願し、その成就に感謝して行われるお祭りとのこと。

志古淵神社

花笠踊は、久多の志古淵神社で行われますが、「シコブチ」と称される神社は、他にも思古渕、志子渕などと表記されながら、琵琶湖に注ぐ安曇川水系に15の神社が存在しているといいます。かつては安曇川の水運を使って、木材を筏で琵琶湖へ流すため、筏を操作する筏師が活躍し、岩との衝突や棲息していると信じられた河童から守ってくれる神様が「シコブチ神」であったそう。久多も木材の供給地でした。志古淵神社については、次回でもう少し詳しくまとめます。現在の久多の志古淵神社は下の宮とも呼ばれ、久多川の上流には上の宮神社が、両者の間には立派な杉がそびえる大川神社が鎮座しており、花笠踊はこの三社で奉納されます。

花笠踊 灯籠

毎年14日に盆行事の施餓鬼を終えてから、久多の5つの集落それぞれで花宿と呼ばれる家を定め、男性が花笠を作ります。女性は制作の場に立ち入ったり花笠に触れることはできず、花宿は毎年持ち回りだそうです。花笠灯籠は、菊の花が多い印象で、本物の花そっくりです。多くは紙と竹と一部針金で作られているそうですが、菊花だけは久多で「ハシマメ」と呼ばれる植物の茎の芯を使って作られているとのこと。白色なのは暗闇の灯りの中で映えるためだそう。

久多の花笠踊

笠と名があるように、昭和の戦前は少年が頭にかぶって踊ったそうですが、重さもあって大変であることから、戦時中から大人の男性が手に持って踊る形式に変わっていったとのこと。現在は頭にかぶるために灯籠につける輪っかも取ってしまったものも多いとのことでした。「京都の伝統文化映像ライブラリー」では、50年前(昭和48年=1973年)の花笠踊の映像を見ることができます。映像では「戦後途絶えていた子供の踊り(頭に燈籠を載せる)を試験的に復活させてた点と、途中で雨が降ったために後半は拝殿に上がって踊った点」に留意が必要とのことです。

花笠踊 切子灯籠

一方で、今年は明治時代以来、約90年ぶりに切子灯籠が復興し、花笠を先導しました。その姿は、八瀬の赦免地踊りの切子灯籠とそっくりでした。八瀬は少年が頭にかぶりますが、久多の切子灯籠は重さがかなりあるようで、竿の先に吊り下げて運び、志古淵神社に移動後は、拝殿の左右に吊り下げられました。

久多の花笠踊 上の宮神社

踊りは国の重要無形民俗文化財にも指定され、室町時代の風流(ふりゅう)の文化を今に伝えているとされます。20時に上の宮神社に花笠が集まり、氏子の中から選ばれた2人の神殿(こうどの)と呼ばれる神職役の方が到着して神事が始まります。神事に続いて花笠踊が奉納されます。暗闇に歌声が響き渡り、手に持った灯籠がユラユラと揺れる幻想的な光景。現代社会とは時の流れが違うような雰囲気です。地元の方は温かく、奉納の合間にはお互い冗談を言い合ったり、私たちのような外からの人間にも快く写真を撮らせてくださいます。

久多の花笠踊 上の宮神社

上の宮神社での奉納が終わると、人びとは大川神社に向かって夜道を進んでいきます。道中は灯籠を手に持って道歌を歌いながら、下駄のカランコロンという音が響き、とてもよい雰囲気です。まさに時代を越えて受け継がれているという思いがしました。暗闇に灯籠が灯り、ゆっくりと進んでいく眺めは現代とは思えないような光景です。

久多の花笠踊 大川神社

大川神社に到着をすると、上の宮神社と同様に踊りが奉納されました。大川神社には、志古渕神社の祭神の妻が祀られているといわれます。暗闇で動く花笠灯籠や歌声が作り出す独特の雰囲気がたまりません。踊りの様子は動画もあるので、ぜひご覧になってみてください。奉納を終えた一行は、大川神社から集落の総鎮守である志古淵神社へと向かい、本格的な踊りの奉納を行います。その様子は次回以降でご紹介します。

https://youtu.be/Xv8Im26tIII

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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