浄瑠璃寺や岩船寺の周辺は当尾(とうの)と呼ばれる地域で、石仏(磨崖仏)が多くある場所です。

浄瑠璃寺や岩船寺界隈まで行かれたら、石仏巡りもおすすめです。道に突然現れる石仏(摩崖仏)はなんとも不思議な光景。昔の人々は山道を歩きながら寺々を目指し、手を合わせたのでしょう。岩船寺近くのミロクの辻にある線刻の弥勒磨崖仏は笠置寺の弥勒仏を写したものと見られ、弥勒の辻からは笠置寺方面へと道が続いています。笠置寺の像は立体造形だったと見られますが、こちらは線刻です。刻まれた銘文から、鎌倉時代の文永11(1274)年に、永清なる人が亡き父が弥勒仏によって救われることを願い、石工の伊末行(いのすえゆき)によって刻まれたことがわかっています。笠置寺の弥勒仏は、後醍醐天皇が笠置山に立てこもった元弘元(1331)年に火にあおられて失われてしまいましたので、それ以前の姿を伝える貴重な像です。

岩船寺やミロクの辻からは、石仏巡りの道を経て浄瑠璃寺まで歩くコースがおすすめです。人気の「笑い仏」など、いくつかの石仏と出会う道は下り坂。一部急な部分もありますが、基本的にはのどかな風景を楽しめる道が続くため、都会の喧騒とは別世界を感じられることでしょう。応時には人々が行きかったことを思いながら歩くことができます。車で巡ることは難しいためご注意を。笑い仏は鎌倉時代の永仁7(1299)年に、伊末行(いのすえゆき)によって刻まれたことが分かっており、ミロクの辻の摩崖仏からは25年後の作品。たいへん状態がよく、優しい表情を見せています。

笑い仏からは、カラスの壺二尊(地蔵菩薩像を見逃しやすいので注意)、藪の中三尊を経て浄瑠璃寺を目指せます。途中には個性的な形をした「あたご灯籠(江戸時代)」も。藪の中三尊は、弘長2(1262)年と、当尾の石仏の中では最も古い銘を持ちます。

さらに石仏を散策したい方は、藪の中三尊から浄瑠璃寺方面ではなく、向かいの道を西へと入って行きます。ほどなく首切地蔵(実際には阿弥陀仏)が現れます。首切の名称は、少し北側にあったという刑場付近に置かれていたからだとも、首元の彫りこみが深いからだとも言われ、藪の中三尊と同じ弘長2(1262)年の銘を持ち、作風からも藪の中三尊の阿弥陀仏を刻んだと見られる、石工の橘安縄の作ではないかともされます。一時、京都市内のある場所へ移されていましたが、戦後に地元に戻され、釈迦寺跡の今の場所に祀られています。

さらに先へ進むと、地元の方々によって昭和30年代に集められた大門石仏群、さらにしばらく下っていくと、当尾最大の石仏である大門仏谷の如来摩崖仏を望める場所まで行きます。直接摩崖仏まで行ける道は草が茂っており、マムシの危険もあるため、行かない方がよいでしょう。あくまで道路を下って行ってください。阿弥陀仏や大日如来など、どの仏様なのかは諸説あり、印相が不明瞭なため、未完成ではないかともされます。造像の時期も、古くは奈良時代説があるほか、鎌倉時代ともされるなど諸説あり、謎が多い石仏です。

この摩崖仏からさらに下っていくと「加茂山の家」のバス停があり、コミュニティバスで浄瑠璃寺や岩船寺、加茂駅に戻ることもできます(バスは1時間に1本)。天気の良い日はこうした石仏巡りもおすすめです。ただし、やぶ蚊も多い場所のため、秋の間は虫よけスプレーは必須です。実は今回はある番組のロケで、周辺を訪れました。この秋には放送となりますので、改めて告知をさせていただきます。

なお、岩船寺からミロクの辻へは、三体地蔵を経て向かうルートもあります。アップダウンがあり、人気(ひとけ)も少ない場所のため、道中にはご注意ください。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
京都旅屋の「LINE公式アカウント」を作成しました!
散策・講座の最新情報を配信します。

散策・講座のお知らせ
【散策を受付予定】
10月9日(木) 13時30分~16時頃
梅小路公園の「藤袴と和の花展」と京都駅から訪ねる辺りの歴史
10月17日(金) 14時~16時頃
異国情緒あふれる中国風の禅寺・萬福寺へ!国宝建築、都七福神の布袋尊、蛇腹天井!
【時代祭講座を受付中!】
10月11日(土)18時30分~20時30分頃(見逃し配信あり)
京都三大祭「時代祭」講座 ~都大路を進む大行列~
【講座を受付中!】
9月「洛西・大原野の社寺」(見逃し配信を受付中)
10月29日「永観堂」
奥深い京都へのいざない!マニアック京都講座
【過去の講座動画の販売を再開!】
講座動画販売ページはこちらから。
【まいまい京都さんで散策受付中!】
10月11日(土)9時30分~12時頃
【山科本願寺】巨大土塁にびっくり仰天!“城”と呼ばれた巨大寺院跡をめぐる
10月18日(土)14時~17時頃
【城陽】古墳へGO!京都最大の密集エリア・久津川古墳群へ
10月19日(日)12時35分~15時45分頃
【南山城】南山城・秋の古寺巡礼、岩船寺秘仏拝観から浄瑠璃寺まで
10月25日(土)9時30分~12時頃
【紫野】「源氏物語」に描かれた王朝絵巻の舞台へ、紫式部はじまりと終わりの地
【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン を募集中!
「まいまい京都」さんで『【オンラインサロン】吉村晋弥のマニアック京都サロン』を募集中。毎月第2水曜日20:00~21:30頃の配信と吉村のコースの抽選が当たりやすくなります。詳細はリンク先をご覧下さいませ。
