2025年10月5日に南丹市美山町で棚野の千両祭(せんりょうさい、せんりょうまつり)が20年ぶりに行われました。

昨年に日程が公表されてから予定を開けていた棚野の千両祭。20年ぶりの開催でした。南丹市美山町鶴ケ丘の諏訪神社で行われ、今年の夏に上げ松を見た地域です。諏訪神社は鶴ケ丘旧18村の氏神で、10月5日に秋祭りが行われて来ました。その15年に一度の中祭(なかまつり)と30年に一度の大祭(おおまつり)が「棚野の千両祭」と呼ばれ、5つの大字ごとに華やかな民俗芸能が奉納され、華麗さや多額の費用をかけることから千両祭と呼ばれています(京都府登録無形民俗文化財)。

明治時代は50年に1度の大きな祭りだったそうですが、1975年からは15年に1回の開催となり、順番では本来は2020年の予定でした。しかしコロナ過で延期となり、今回は前回からは20年ぶりの開催となりました。地区では少子化や高齢化などで人口減少が進んでいるとのことですが、地域での伝承や映像で残すことを目的に今年の開催となったそうです。

5つの大字のうち豊郷(とよさと)は「獅子舞」、盛郷(もりさと)・福居(ふくい)は「棒振り太刀・長刀振り(刀踊)」、豊郷(とよさと)は「獅子舞と姫振り踊り」、高野は「神楽」、 鶴ケ岡は「神楽と俵振り(たわらぶり)」が奉納されました。それぞれに大太鼓によるお囃子が伴い、大太鼓をのせる屋台(山車)は、風流の作り物を飾る曳山の形式となっていて、飾りつけは昔に比べて軽量化や簡略化をするなど現代に合わせ、集落ごとに個性もあるそうです。

個人的にも見られるのを楽しみにしていましたが、体調不良もあって到着が遅れてしまいました。この日は雨のため予定より進行が早くなり、13時過ぎの到着で何とか最後の2演目の高野の「神楽」、 鶴ケ岡の「神楽と俵振り」を目にすることができました。ステージには雨除けのブルーシートが屋根代わりにかけられていました。

高野と鶴ケ岡の神楽は、お多福やヒョットコ(ささらすり)が登場する一方、太鼓打ちも盛り上がり、両者一体となった民俗芸能でした。ヒョットコは男性器状の棒ささらを持って登場するのが珍しかったです。鶴ケ岡の俵振りは明治時代に美山町宮脇の道相神社(どうそうじんじゃ)に習ったという伝承があり、道相神楽では同様の俵振りがあるそうです。神楽はかつては女人禁制だったそうですが、平成以降は少子化のため女子でも参加できるようになったそうです。

神社には帰省された地元の方々や報道陣、私のような観客も含め、雨でも大勢の方が訪れており活気を感じました。子どもたちも他の地域のお祭りに比べればまだまだ人数が多いように思いましたが、それでも昔よりは少なくなっておられるとのことで、最後のあいさつで地元の代表の方が涙ぐんでおられたのが印象的でした。

千両祭の奉納行事の伝承も、以前は口伝だったそうですが、5年前にコロナ過で祭りの開催を見送ったのをきっかけに、全ての奉納芸を映像で記録したそうです。諏訪神社のYouTubeチャンネルに、練習風景から準備も含め細かく丁寧に長時間の映像が公開されています。今回はこれが最後になるかもしれないとの思いで取り組んで来られた方もおられるでしょう。神社での奉納を改めて映像に残すことができ、安堵しておられるのではないでしょうか。

順番では次の棚野の千両祭は10年後か15年後かになりますが、その時にも地域の皆様の機運が高まり、担う人々が大勢いてくださって、無事に開催することができることを強く願うお祭りでした。何とか末永く地域で受け継がれていってほしいです。その時まで私も心身ともに健康で、きっとまた見に来られたらと思いました。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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