舞鶴 金剛院の紅葉

11月9日に京都府北部の舞鶴市にある金剛院を訪れました。紅葉が色づいて来ており三重塔周辺が特に綺麗でした。

金剛院

舞鶴市を代表する寺院のひとつが金剛院。特に秋の紅葉が知られます。寺の創建は平安初期とされ、平城天皇の皇子で嵯峨天皇の皇太子でもあった高岳(たかおか)親王によると伝わります。高岳親王は、810年に薬子の変(平城太上天皇の変)に伴って皇太子を廃され、出家をして真如と名乗り、弘法大師・空海の弟子となりました。

金剛院

真言密教を習得すると、さらに教えを深めるために入唐求法を志し、862年、ついに入唐を果たします。しかし、当時の唐では廃仏政策の影響で優れた師を得られなかった親王は、天竺(インド)を目指すことを決意。865年に従者3名と広州の港を出港しましたが、以後の消息が途絶えました。16年後、在唐の留学生から日本へ知らせがあり、それによると親王はマレー半島にあった羅越国で薨去したと伝えられています。一説には、虎の害にあったとの説もありますが、それは釈迦の捨身飼虎になぞらえたものだともされています。いずれにしても、世が世なら天皇となっていた高岳親王は、波乱万丈な人生でした。

金剛院

さて、金剛院はその高岳親王(真如)によって、829年に創建されたと伝わります。当初は高野山から移した弁財天を祀りました。平安時代末期に白河法皇によって再興され、比叡山の無動寺から相応和尚作という波切不動明王を移して本尊としています。また、鳥羽上皇の皇后である美福門院は、平忠盛に命じて三重塔などの諸堂を修復。阿弥陀如来像を祀り、この時の像も現在は宝物殿で拝することができます。当時周辺は志楽荘という荘園で、鳥羽上皇が京都の白河に建立した宝荘厳院(ほうしょうごんいん)領とされ、平治元(1159)年の記録では平清盛が領家として知行していたこともわかっています。金剛院が美福門院の御願所となり、阿弥陀如来像が現存しているのも、志楽荘を通じて都と繋がっていたからと見られます。

金剛院

その後、戦国時代には丹後を治め、舞鶴に田辺城を築城した細川藤孝(幽斎)によっても援助を受け、金剛院には幽斎が手掛けたという庭園が伝わっているほか、境内のカエデもこの時期に植えられたといいます。このように皇族や大名ゆかりの寺として、現在も諸堂や貴重な仏像が伝わり、舞鶴屈指の紅葉名所としても知られています。

金剛院

境内奥には室町時代後期の建立とされる三重塔が建ち、特にその周辺がカエデがたくさん植わってます。9日は雨でしたが、三重塔周辺など紅葉が色づき、大変見事な光景を目にすることができました。山に抱かれた寺はとても静かで、悠久の歴史を今に伝えています。なお、三重塔は隣の公園からもよく見えます。

金剛院

入山は300円で、別途500円の宝物殿では快慶仏の深沙大将と執金剛神像を目の前で拝することができ、木目や造形の細部まで確認できます。今年はご縁があってKBS京都さんの番組「京都浪漫」で訪れることもできました。宝物殿には美福門院の寄進による阿弥陀如来座像や多聞天・増長天像も祀られており、貴重な空間となっています。仏像ファンのみならず、ぜひ一度ご拝観いただきたい場所です。事前予約のうえ、訪れてみてください。

金剛院 特別公開の案内

なお、今年は11月14日~24日まで非公開文化財特別公開があり、特に午前11時からは松尾ご住職による大変わかりやすいご説明がある予定。なんとこの11時からの案内に参加をされた方のみ、通常非公開の波切不動明王像も拝せるとのこと。料金は入山料等併せて1300円。電話での事前申込か当日受付で直接も可能とのこと。ただし11時の時間厳守です。

金剛院

江戸末期に再建された本堂の見事な彫刻は、丹波・丹後の社寺建築で見事な装飾を残した中井権治一統の六代目中井正貞作で、裏側には銘も確認できます。100段を超える階段は大変ですが、上る価値のある場所です。見どころの多いお寺さんですので、お車のある方はぜひ足を延ばしてみてください。

金剛院

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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