先日、ご案内で貴船を訪れてきました。京都近郊の夏の避暑地として人で賑わっていました。
夏の京都は35℃を超える猛暑となることもありますが、3方を山に囲まれているため山沿いの避暑地へも比較的楽に行くことができます。個人的に好きなのは比叡山。山上は晴れていれば、市街地と比べて8℃ほど気温が低いこともあり、ガーデンミュージアム比叡で美しい草花や京都と琵琶湖の絶景を眺め、延暦寺で深い歴史を感じるひと時は最高です。
一方で、川床(かわどこ)で名高いのは、何といっても貴船です。貴船の川床は大正時代に始められたとされますので、歴史は鴨川の床の方が古いものがありますが、涼しさは圧倒的に貴船の方が優れています。真夏の暑さにうだりそうな中でも、川床の清涼観は抜群。京都の避暑地として高い人気を誇っています。京都近郊では、高雄でも川床があり、鷹峯のしょうざんでも渓流床が出るなど、山間部の夏の風物詩として、それぞれを体感してみたいところですね。
貴船にある貴船神社には水源を司る水の神様が祀られ、本宮の境内では水に浸すことで文字が浮かび上がる「水占みくじ」が人気を集めています。今年は京都を含め、各地で風水害が多くなっていますので、本宮では来る台風シーズンは少しでも災害が少ないことを願ってきました。それにしても、夏の貴船はまさに京都の「旬」な場所。緑の輝きも川を流れる水の音も心を癒してくれます。できればゆっくりと時間を取って、貴船神社の奥宮まで散策してみるのがおすすめです。
本宮と奥宮の間にあるお社は「結社(ゆいのやしろ)」と呼ばれ、縁結びの神様として磐長姫命(いわながひめのみこと)がお祀りされています。妹と一緒に嫁ぎながらも、容姿がすぐれなかったために親元へと返されてしまうという辛い経験をした神様。それでも「我長くここにありて、縁結びの神として世のため人のために良縁を得させん」として貴船の地に鎮まったと伝わっています。失恋の痛みを知ってなお、自分のような辛い思いをさせないよう人々に良縁を授けて下さるという、京都に数ある縁結びスポットの中でも、私がおススメをしたいお社の一つです。さて、貴船の川床は9月下旬まで行われています。さすがに9月に入ると天気によっては寒い日もありますが、前半を中心にまだまだ残暑が厳しい時期。夏の貴船に行かれたことのない方は、暑い時の「旬」な場所ですので、ぜひ足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。