渡月橋の南側から大堰川(桂川)を上流部へと進むと、戸無瀬の滝が現れます。
戸無瀬の滝は、渡月橋の南側から大悲閣千光寺へ向かって大堰川をさかのぼっていくと現れる滝です。最近、新しい解説版か設置され、その存在に気が付いた方もおられるでしょう。滝は、戸難瀬の滝や音無瀬の滝とも書かれ、平安時代から様々な和歌に詠まれています。室町時代には天龍寺の開山である夢窓疎石が天龍寺十境のひとつとして、三段に落ちる戸無瀬の滝を「三級巌(さんきゅうがん)」と名付けました。
江戸初期に角倉了以が大堰川を開削した際に、滝は多くが削られたといわれますが、以後の都名所図会や都林泉名勝図会にも、滝の姿が描かれており、嵐山の象徴のひとつとして歴史的にも知られた滝です。しかしながら明治以降の治山工事によって滝はさらに小さくなり、木が茂ったこともあって対岸からはその姿が見えづらくなっています。
現地に立ってみると、滝の下の部分は岩の部分を滝が流れていますが、上を見上げると砂防ダムが築かれて、そこを水が流れ落ちています。しかし、その高低差はかなりのもので、往時の豪快さの片りんは感じられるのではないでしょうか。戸無瀬の滝は、一説には大堰川の急流となっているところをそう呼んだとの話もあり、とすると角倉了以が削ったのはそちらだったのかもしれません。時代や景観は変われど、今でも流れ落ちる滝の水に歴史を感じることができるでしょう。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。