三鈷寺は京都検定のテキストに載っていることでご存知の方もおられるでしょう。場所は善峯寺の隣りですが、訪れるにはコツがあります。まず善峯寺を拝観し、境内の中腹にある「回転扉」から外に出てください。一見、回転扉を出てしまうともう戻ってこれないように見えますが、帰りは善峯寺のパンフレットをインターホンに見せれば回転扉のロックが解除されて、善峯寺の境内に戻ってくることができます。
回転扉を出てほどなく、三鈷寺の門前へと到着です。なお、下の道路から山道を登ってくる方法もありますが、かなり坂がきついため善峯寺境内からのルートの方が楽でしょう。さて、三鈷寺は善峯寺を創建した源算上人の隠居所で往生院と呼ばれましたが、鎌倉時代の初めに法然上人の弟子・証空上人が浄土宗西山派の念仏道場として発展させ、三鈷寺と改称。寺名の由来は、寺の背後の山の形が仏器の三鈷に似ているからとされます。
応時は天台・真言・律・浄土の四宗兼学の道場として隆盛しましたが、応仁の乱によって衰微し、現在は山中に佇む隠れ寺の様相で参拝者を迎えています。境内からの眺めは善峯寺と並んで抜群で、江戸時代に書かれた都名所図会では「二大仏七城俯瞰の地」と表現され、東山三十六峯、京都盆地、南山城を一望できるまさに「天空の寺」です。
お時間のある方は拝観をして頂くと、本堂内で証空上人の御廟や、阿弥陀如来像や十一面観音像など、貴重な仏像に手を合わせることができます。また、現代的で落ち着いた雰囲気の客殿からは、お茶を頂きながら美しい京都の眺めを堪能できます。この時期は眼下に紅葉が望め、いつまでも眺めていられるような心地よい時間を過ごせます。
また、青空に向かってそびえる天空のイチョウは、16日の段階でピークまでもう少し。今週後半には綺麗な色合いになるでしょう。以前に青空に向かって散っていく様を目にしたことがありますが、たいへん感動的でした。またいつか眺めることができればと思います。素晴らしい景色に出会える三鈷寺。善峯寺に訪れる際など、足を延ばしてみてください。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
- 【受付中!】11月19日(火)13時~16時頃
天狗像が誘う鞍馬山から鞍馬寺へ 知られざる信仰空間と紅葉の山 - 【受付中!】11月25日(月)9時30分~12時頃
鳴き龍の相国寺!紅葉穴場の開山堂庭園、木の葉散る上御霊神社へ - 【受付中!】11月25日(月)13時30分~16時頃
隠れた紅葉名所の知恩院・友禅苑から秋色の円山公園へ - 【まいまい京都さんで受付中!】11月21日(木)14時~16時30分頃
【西賀茂】紅葉の洛北・名刹めぐり、比叡山を望む借景庭園へ - 【まいまい京都さんで受付中!】11月24日(日)09時~11時45分頃
【東山】穴場の紅葉・庭園めぐり、建仁寺の潮音庭と正伝永源院へ - 【まいまい京都さんで受付中!】11月26日(火)07時30分~10時頃
【嵐山】息を呑む美しさ、錦繍の嵐山と天龍寺の早朝参拝 - 【まいまい京都さんで受付中!】11月26日(火)13時~15時30分頃
【嵯峨】嵯峨が紅葉に染まる時、ゆるり名刹・穴場めぐり - 神戸新聞カルチャーで受付中!
知られざる丹後丹波の物語 - NHK文化センター京都教室で受付中!
京都の魅力を徹底解説!プロガイドが教える京の歳時記 ~秋の紅葉、春の桜~ - NHK文化センター神戸教室で受付中!
旬の京都を再発見!プロガイドと歩く散歩道 ~古都の秋を楽しむ~ - 講座資料を販売中!
京都講座の過去資料を販売しています。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。