廬山寺(ろざんじ)の桔梗が例年より多くの花で見ごろを迎えています。
御所の東にある廬山寺は、紫式部が過ごした邸宅跡に寺地をもつ源氏物語の執筆地として知られ、紫式部とその子・大弐三位の百人一首の歌碑も建つお寺です。庭園は昭和40年に整備されて「源氏庭」と名付けられています。白砂に緑の苔が絵巻物の雲のような形で配され、そこに1000本を超える桔梗が植えられています。
桔梗は源氏物語では「朝顔」と呼ばれる花のことだとされ、庭園には「紫式部邸宅跡」の石碑も置かれています。まさに庭園を見ながら源氏物語を偲べる場所ではないでしょうか。今年は桔梗の花付きがよく見応えがあり、青い清楚な花は暑くなる時期に涼しげにも見えます。桔梗は真夏には花の勢いが落ちますが、9月までは楽しめますので、よければ足を延ばしてみてください。
また、今年は11月30日まで、明智光秀の念持仏と伝わる地蔵菩薩像、不動明王像、毘沙門天像が公開されています。桃山時代の制作とされ、中央の地蔵菩薩像は取り外すことができ、光秀が出陣する際にはこの地蔵菩薩のみが外されて礼拝されていたとみられています。こちらの地蔵菩薩は一般的な姿ですが、当時は勝軍地蔵という武装した姿の地蔵尊が戦勝祈願で武士たちより信仰を集めており、愛宕山の勝軍地蔵は有名でした。光秀が愛宕山で何度もくじを引いたエピソードは知られています。廬山寺に光秀の念持仏が伝わっているのは、比叡山焼き討ちのあと光秀が廬山寺を攻めようとした際、正親町(おおぎまち)天皇が廬山寺を焼き討ちしないように求めた縁からとされています。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に3年連続最高得点で合格(第14回~第16回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。