祇園白川の桜月夜


今週末の京都は早咲き桜が見ごろ。ソメイヨシノは3分咲き程度のところが多いですが、場所によっては満開近くまで咲き進んでいるところもあります。今週末の一押しは祇園白川でしょう。

早咲き桜は点在して見ごろを迎えています。そのため穴場はいくつもありますが、聖護院の枝垂れとソメイヨシノは非常に美しいです。須賀神社ではまだ梅が見られ、そこから金戒光明寺の三門脇の駐車場に咲く満開の桜を眺め、真如堂の三重塔に咲く枝垂れ桜の雨を見に行くのも今週末最高のコースの一つでしょう。京都旅屋でも水辺の桜散策を実施しますが、高瀬川やインクライン沿いでは、ソメイヨシノがかなり綺麗に咲いてきています。

一方でまだこれからなのが、哲学の道沿い。咲き始めから3分位といった印象。しかし、お勧めは大豊神社の参道入口に立つ桜。縦皮桜だといわれますが、ともかく界隈では抜群に美しく咲いていて、まさに満開で見頃中の見頃といった状況でした。大豊神社は椿もあり、枝垂れ桜は咲き始め、枝垂れ梅も何とか残りといった状況で、是非神社へも訪れてみて下さい。運がよければ狛ねずみが椿の花飾りをつけた可愛らしい光景を見ることもできるでしょう。

円山公園の祇園枝垂れ桜もようやく咲き始めました。円山公園は、新年度を迎えた学生たちで大賑わいとなっています。今日の夕方に行きましたが、10年ほど前を思い出す雰囲気。サークルの新入生歓迎の花見を円山公園で行うのが京都の学生の定番です。八坂神社から夜店も所狭しと並び、京都の春はやはりここへ来ないとと個人的には感じました。円山公園のソメイヨシノは全体的には3分咲き程度ですが、一部で見ごろを迎えている木もあります。祇園枝垂れ桜は見頃に入るまでもう数日かかるでしょう。

さて、祇園白川ではソメイヨシノも咲き進み、満開近しといった印象。早咲きの枝垂れ桜は当然に見ごろで、昼間も素晴らしいですし、また夜桜のライトアップも行われていて、こちらも抜群に綺麗です。お仕事中の芸舞妓さんもお座敷から姿を見られる時もあります。その華やかさと行きやすさ、そして明日夜は満月で、今週末の京都の私の一押しです!

「清水へ 祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふひと みなうつくしき」と詠んだ与謝野晶子の歌は有名で、彼女がこの歌を詠んだのは円山公園との説もあります。円山公園の祇園枝垂れ桜と満月も最高ですが、今年は咲き始めで明日にはちょっと間に合いません。一方で、祇園白川では申し分ない見頃の桜と満月の桜月夜を楽しむことができます。満月前日の今夜も月例は14.5と、ほぼ満月といえるまん丸のお月さまが東山に昇りました。

祇園白川の通りは、戦時中の強制疎開によってできた道で、晶子の時代にはこの桜はありませんでしたが、今一番この歌が似合うのは祇園白川かもしれません。そのあまりの美しさに、足を止めて眺めたりカメラを向けたりされる方がほとんど。「最高の夜!」という声も聞こえました。一時は雪の予報も出ていた今夜。もし雪が降れば、雪月花が見られたかもしれませんが、それは贅沢すぎるというものでしょうか(笑)それにしても、本当に美しい桜月夜。逢う人は皆、笑顔でした。最後に動画もありますので、美しい桜と月、賑わう様子をお楽しみ下さい。

さて、7日は満月が昇って祇園白川の桜と一緒に見られるのは20時頃から22時にかけてです。天気は夜まで曇りの予報ですが、夕方から夜は雲がはれて、満月が見られる可能性も十分にあるでしょう。最高の桜月夜に「今宵逢う人 皆美しき」の心境を感じられるかもしれません。ただし!明日は昼も夜も大変寒いので、特に夜は真冬並みの防寒対策で夜桜見物にはお出かけ下さい。ライトアップは22時まで行われています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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