下鴨神社 節分祭 追儺弓神事

下鴨神社 節分祭 弓神事
2月3日に下鴨神社節分祭が行われました。個性的な弓矢の神事があります。

下鴨神社 節分祭 豆まき京都の節分行事は本当に多彩です。しかも京都の一年の中でも最も行事が集中する日で、多くが同じ時間帯に行われているため「数」を見るには年単位が必要。さらに人気の場所では、1~2時間ほど前から場所取りをしないと見ることさえできないというところもあります。

下鴨神社 節分祭 火床下鴨神社の節分祭は、午前中の神事と、続いて行われる古神札焼納式、そして午後からの追儺式・弓神事(以下、追儺弓神事)、豆まきという流れで進んで行きます。今回は追儺弓神事と豆まきの様子を見てきました。昼過ぎに神社に到着すると、南口鳥居の楼門側に、古神札焼納式で焚きあげられた大きな火床が燃え盛っていました。

下鴨神社 節分祭 燃やされる鏡絵馬京都の節分では火焚きの神事も多く行われていて、最も有名なのは吉田神社の火炉祭です。下鴨神社の火床は、京都でも有数の大きさで迫力があります。火床の前にいると真冬でもかなりの暑さを感じました。そして、燃えているものをよく見てみると、なんと!河合神社の鏡絵馬ではありませんか!こうして、恐らく年1回焚き上げられているのですね。

下鴨神社 節分祭 弓神事追儺弓神事は、12時半から行われます。この神事は龍谷大学と佛教大学の弓道部の皆様によって奉仕されているようです(大学名が違っていたら申し訳ありません)。見学者の誘導など、運営も学生さんによって行われていました。時間になると楼門から神職と弓を持った方々が入ってきて、まずは本殿前で神事を行います。そして13時前から舞殿での神事が始まります。割と混み合っていますので、確実によい場所で見ようという場合は、寒い中で長く待たねばならない点をご注意ください。

下鴨神社 節分祭 蟇目式まず舞殿の北側に置かれた鏑矢(かぶらや)を取り出し、舞殿上で弓を鳴らしたり射るような所作を行います。この時、大きな声で「ぃやぁ~!!」とかけ声を出す点が印象的。これは「蟇目(ひきめ)式」と呼ばれている儀式で、邪を払い場を清める意味を持ちます。平安時代の宮中で行われてた儀式を再現しているのでしょう。これらの所作はゆっくりと行われていきます。

下鴨神社 節分祭 屋越式続いて、舞殿の南側から楼門の屋根を越えるように鏑矢を射る「屋越式」が行われます。鏑矢は「ぽー」という独特の音がしますので、静かに耳を澄ませて見たいところです。しばしの静寂の後、矢が音を立てて勢いよく楼門を越えて行くと、見物人からは歓声が上がりました。この鏑矢の神事は、5月5日の歩射神事でも行われています。また、先日の上賀茂神社の武射神事でも見ることができます。

下鴨神社 節分祭 的鏑矢の神事が終わると、学生らが扮する射手が舞殿に上がります。的は舞殿の東西に並び、射手は3名ずつそれぞれに別れて丹塗りの矢を射ます。的の裏には「甲」と「乙」を合わせた図形で「鬼」のような文字が表現されています。意味として、他所の弓神事と同様に「鬼」の意味があるかは定かではありませんが、甲乙は陰陽にも通じるのかもしれません。また、他所の弓神事では「甲乙無(ム)」と書いて「勝負事ではない」という意味を表すこともあるそうですが、下鴨神社がそうなのかは説明がなく分かりませんでした。

下鴨神社 節分祭 当たった的弓を射る所作がゆっくりと進み、パッと矢がなはたれると「やぁ~~!!」という大きな掛け声も射手から上がります。まさに「静から動」へと変わる一瞬で、見事に的に的中させると静まり返っていた観客からは大きな歓声と拍手も上がりました。最初の射手から順番に矢を射て行き、6枚ある的に全て当たるまで射て行きます。

下鴨神社 節分祭 当たり的を拾う一人の持っている矢は4本のようで、的の数よりは多いものの、この日の的中率は50%ほどで、私が見ていた側では最後の1本で全ての的に当たりました。矢が当たった的は砕けて辺りに散らばります。全ての的が壊れ、係員によって丹塗りの矢が回収されると、神事の終了の合図で人々が一斉に的を拾おうと争いました。この的を持ち帰ると厄除けとなるようです。また、丹塗りの矢と同じものは有料で授与もされているようです。

下鴨神社 節分祭 たわわちゃん舞殿では引き続いて豆まきが行われます。今年も京都タワーのマスコット「たわわちゃん」が来ていました。関係者に交じって登場して来る様子が違和感があって可愛らしく、神事にもちゃんと加わっています。たわわちゃんは下鴨神社の行事には時々登場し、女の子ということもあって、3月3日の「流し雛」の時にも毎年来ています。

下鴨神社 節分祭 ひらき餅下鴨神社の豆はまず、袋に入っていない裸の豆が投げられ、続いて袋入りの豆が撒かれていきます。取りに集まる人に対して大量に撒かれるため、まず取ることはできるでしょう。また、数は少ないですが「ひらき餅」という、緑と黄色のお餅も交じっています。この餅は境内の比良木(ひらき)社に由来し、緑は芽生えのイメージから開運を表し、黄は破魔退散のイメージから厄除けを表すということです。

下鴨神社 節分祭 たわわちゃんたわわちゃんは、手が丸いのですが、助手の方から豆袋の束を受け取ると、器用に撒いていました。やはり大人気です。たわわちゃんは例年、舞殿の南西辺りに立つことが多いようですので、たわわちゃんからの豆を持ちたい方はその辺りにいるとよいのではと思います。たわわちゃんの可愛らしい様子は、迫力ある弓の神事の場面は動画もありますので、ご覧ください。




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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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