二条城は徳川家康によって1603年に建てられた城で、家康の天下取りへの足掛かりとして様々な目的をもって築かれた城です。現在の二条城の景観は、3代将軍・家光の時代に後水尾天皇の行幸に際して大改造された部分が大きく、その際に本丸が拡張され、二の丸御殿は内部の障壁画が描きなおされて唐門が新造、二の丸庭園は大広間・黒書院、そして行幸御殿(現存せず)の3方向のいずれから眺めても美しいお庭となるよう、小堀遠州によって石組みが組みなおされました。
天皇の行幸にあたっては、東大手門は創建当初の重層の門から作り直されて、単層の門となりました。これは城の正門である東大手門の上に人が入れる構造自体が不敬であるとされたため。天皇の行幸が終わった後、1662年の寛文地震後に現在の重層の東大手門へと再度作り直されています。一方、東南隅櫓も後水尾天皇行幸に際して建設された隅櫓のひとつで、現存する西南隅櫓と比べて一回り大きい構造が特徴です。往時は城には計9棟の櫓がありましたが、1788年の大火で多くが焼失し、現存しているのは東南隅櫓と西南隅櫓の2棟だけという貴重な遺構です。
さて、この3月に東大手門の修復が終わり、記念事業として3月24日から7月31日にかけて東大手門と東南隅櫓の内部が公開されています。料金は入城料に別途400円が必要です。まだ公開が始まって間もないからか、この特別公開に入る人はほとんどおらず、貸し切り状態で眺めることができました。東大手門や東南隅櫓にはちゃんと石落としの構造が設けられていたり、火縄銃をかけるための竹釘が並んでいたりと、城としての二条城の魅力を感じられます。
また、東大手門の金具が修復されて美しい輝きを取り戻していますが、私が目を凝らして探した限り1羽だけ千鳥があしらわれている場所がありました。恐らく当時の職人さんの遊び心なのでしょう。東大手門の金具もぜひ近くでご覧ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。