玉津岡神社の「おかげ踊り」

玉津岡神社 おかげ踊り
4月3日に井手町の玉津岡神社でおかげ踊りが行われました。

玉津岡神社玉津岡神社は、円山公園のしだれ桜の叔父にあたる樹齢290年という老木のしだれ桜がある地蔵禅院のさらに上にある神社です。祀られている神様は、大国主(オオクニヌシ)の娘である下照姫(下照比売:シタデルヒメ)命です。古事記では、以前にブログに書いた天若彦(天若日子:アメノワカヒコ)との間のエピソードで知られます。

玉津岡神社 おかげ踊り玉津岡神社の伝承によれば、下照姫(シタデルヒメ)命は、欽明天皇の時代に玉津岡の南峰に降臨し、後に橘諸兄(たちばなのもろえ)によって現在地に社殿が遷されました。下照姫は天若彦が亡くなった際に、8日8夜歌舞をして弔ったとされ、家内和合や芸能のご利益で信仰を集めています。社殿建築も注目で、拝殿正面の柱上部には、阿吽の蛙の彫刻があります。他にも手水の口も蛙形の石をしています。実は井手町の玉川沿いは蛙が美しい声で鳴くことで知られ、古から玉川の蛙を詠んだ和歌は83首を数えるそうです。

さて、当尾 白山神社 おかげ踊りの絵馬南山城一帯では、江戸時代後期に「おかげ踊り」が流行しました。おかげ踊りの由来となったのが、江戸時代におよそ60年周期で大流行した伊勢神宮への集団参詣「おかげ参り」です。伊勢神宮の遷宮の翌年にお参りするとおかげ(御利益)がいただけるといわれ、数百万人規模で、全国各地から人々が伊勢神宮を目指しました。当時、庶民の移動には厳しい制限がありましたが、伊勢神宮への参詣に関してはほとんどが許される風潮があり、特に商家の間では天照大神は商売繁盛の守り神ともされたため、奉公人が伊勢神宮参詣の旅をしたいと言い出した場合には、主人はこれを止めてはならないとされていました。また、たとえ親や主人に無断で旅に出ても、お守りやお札など伊勢神宮を参詣した証拠の品を持ち帰れば、おとがめなしとなっていたといいます。また、皆でお金を出し合って代表者がお伊勢参りをする伊勢講が盛んとなりました。

中天満宮神社 おかげ踊りの絵馬1705年のおかげ参りは京都の町人が、1771年のおかげ参りは南山城の宇治が発祥とされ、京都からの参詣者も多かったようです。そして1830年には阿波から始まったおかげ参りが大流行しました。その際に河内国(大阪)を発祥として流行したのが「おかげ踊り」です。この民衆の踊りは全国でブームとなりました。京都でも南山城を中心に流行をし、城陽市の水度神社や中天満神社にはおかげ踊りの様子を描いた絵馬が奉納されています。同時代のおかげ踊りの絵馬は全国でも9枚しか残っていないのだとか。

玉川沿いでのおかげ踊り幕末には「ええじゃないか」という踊りにも繋がったというおかげ踊りですが、おかげ参りは明治以降はすたれてしまいます。しかしおかげ踊りは何かめでたいことがある度に、南山城では踊られていたとのこと。現在は、城陽市の水度神社や井手町の玉津岡神社、岩船寺前の白山神社で、昭和の時代に復活したおかげ踊りが踊られています。

玉川沿いでのおかげ踊りさて、井手町の玉津岡神社では春の4月3日と秋の10月半ばに、1980年に復活した「おかげ踊り」が奉納されてます。春は玉川沿いに見事に桜が咲き誇る時期ですが、今年は桜の開花が遅れ、3日の段階ではまだほとんどがつぼみでした。春は神社だけでなく玉川沿いでも踊りの奉納があるのが特徴です。踊りは10時半前から始まり、菅笠かぶり扇子を手にしたご年配の女性たちが踊ります。玉川沿いでの奉納が終わると、玉津岡神社へと移動をして神事に続いて11時半ころから奉納が始まりました。踊りはおかげ踊りと玉川音頭が奉納されて終了。円を描いて踊るさまが往時を忍ばせてくれました。こうして伝統が受け継がれていくのも興味深いものがあります。機会がありましたら、ご覧になってみてください。

玉川沿いでのおかげ踊り
玉川沿いでのおかげ踊り
玉川沿いでの玉川音頭

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。

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