妙満寺の「雪の庭」

妙満寺 雪の庭
14日の京都の雪。円通寺からは妙満寺を訪れました。「雪の庭」があることで知られています。

妙満寺妙満寺は、元は現在の京都市役所の北付近(寺町二条)にあった日蓮宗のお寺です。昭和に入って年々都市化が進んだため、都会の喧騒を避けるため、昭和43年に現在の岩倉の地に移って来ました。本坊にある「雪の庭」は、俳諧の祖と仰がれる松永貞徳によって造営されたといわれる雪月花三名園の一つです。いずれも成就院というお寺に作られ、妙満寺成就院の雪の庭、清水寺成就院の月の庭、北野にあった成就院の花の庭(現存せず)とがありました。清水寺成就院の月の庭も、年に何回か公開されています。

妙満寺 雪の庭松永貞徳は江戸時代初期に活躍し、妙満寺を会場として正式な俳諧の興業「雪の会」を催しました。これにより連歌から俳諧が独立して認められ、後の松尾芭蕉へも繋がって行きます。その意味では妙満寺は俳諧発祥の地ともいえるでしょう。この時の妙満寺成就院の住職が貞徳の門下生だった縁もあり、寺には「雪の庭」が造営されました。

妙満寺 雪の庭上記のように雪の庭は、もともとは妙満寺の成就院にありましたが、岩倉への移転に際し、石組をそのままに本坊前に移されました。京都市街地よりも雪の頻度が高い岩倉に移ったことで、文字通りの「雪の庭」が見られる機会も増えたわけです。岩倉は、市街地でほとんど雪が積もっていなくても5cm~10cmほどの積雪があることさえあり、山間部と京都市街地との緩衝地帯に当たります。夜間を中心に雪が積もる時は山間部のようにしっかりと積もりますが、一方で日差しの戻りは大原や鞍馬よりは市街地寄り。ですので、意外と速く雪は消えていきます。雪の深さにもよりますが、妙満寺の雪の庭を見に行かれるのでしたら、午前中がベターかと思います。

妙満寺 雪の庭雪景色が作り出す独特の雰囲気は、寒い日に出かけた者だけが感じられる特権かもしれません。妙満寺では、座ってゆったりと眺めることが出来ますので、額縁のような風景を楽しんで見たり、あるいは縁側に出てみたりと、心行くまで「雪の庭」を堪能できます。この日は昼頃に訪れましたが、まだ雪は残って、趣ある光景を楽しむことができました。

妙満寺また、妙満寺は境内からの比叡山の借景も見事です。洛北の比叡山の借景では、円通寺や正伝寺も知られますが、妙満寺が最も比叡山に近く、その分雄大さがあります。境内の建物が小さく見えるほど大きな比叡山には毎回圧倒されます。この景色は本堂への階段を上って振り返ると見られますので、忘れずに眺めてみて下さい。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。

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