八幡市の南、大阪府もほど近い場所に建つのが臨済宗の円福寺です。宗派を問わず禅の修行ができる道場として、江戸時代の天明年間に創建されました。京都検定のテキストにも載っていますが、今でも通常非公開の修行道場で拝観は行っておりません。境内の達磨堂に祀られる達磨大師像が日本三達磨のひとつというのが京都検定的な覚えどころ。毎年4月20日と10月20日に行われる万人講で公開されます。
寺の東側には国道1号が通り、洞ヶ峠の交差点も近くです。明智光秀と羽柴秀吉が戦った山崎の戦い(天王山の戦い)で、光秀と親しかった筒井順慶が、洞ヶ峠まで出陣しながら日和見をしたという話は有名ですが、実際には筒井順慶は事前に秀吉方についており、洞ヶ峠に行ったのは光秀のほうだとされます。
さて、円福寺では毎年12月20日の前に、修行僧たちが修行の一環として「大根干し」を行います。門前にそびえる背の高いイチョウの木に、数本ずつにまとめた大根を滑車とロープを使って気に吊るしていき、その本数はおよそ1500本~2000本にもなるそうです。こうして1月中旬まで約1か月間天日干しを行った後、1年から3年漬け込んで、修行僧が食べる「たくあん」にされます。実はこれらの大根は、修行僧が八幡市だけでなく大阪府の枚方市、交野市の農家を托鉢して回り、いただいてきたものなのです。この時期の恒例行事として親しまれ、地元ではクリスマスツリーならぬ「大根ツリー」ともよばれているのだとか。たいへん個性的な光景でした。「たくあん」は、春と秋に行われる万人講で、精進料理にそえられて参拝客にも振る舞われます。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。