丹後を襲った北丹後地震

北丹後地震
1月17日で阪神大震災(兵庫県南部地震)から25年となりました。今回は1927年に京都府北部の丹後地方を襲った北丹後地震について書いてみます。

神戸阪神淡路大震災から25年の節目を迎えました。震災関連の番組を見ながら心が苦しくなることもあります。しかしこうして振り返って当時のことを胸に思い、私自身も含め来るべき次の大地震に備えていただくことで、一人でも多くの命が助かってくれることを願ってやみません。先日、神戸での講座で「北丹後地震」についてお話しする機会がありました。1927年に発生した地震から今年で93年の時が流れます。どのような地震であったか、講座で配付した資料を転記してみます。

北丹後地震北丹後地震は、昭和2(1927)年3月7日18時27分に発生した、丹後地方を震源とする大地震で、マグニチュードは阪神淡路大震災と同じ7.3でした。死者・不明者は2925名を数え、震源地の丹後半島では、家屋の倒壊率が7割から9割にも達する揺れの激しさ。地震の発生時刻は夕方の食事時と重なり火災も多数発生し、旧峰山町ではなんと家屋のほぼ100%が倒壊・焼失し、町は壊滅状態となりました。

郷村断層 小池地区北丹後地震の震源断層は、延長約18kmの「郷村(ごうむら)断層」と、延長約7.5kmの「山田断層」でした。地震により特に郷村断層沿いで地面の明瞭なずれが出現し、現在は国の天然記念物として小池地区、樋口地区、生野内地区の三か所で保存され、見学ができます(生野内地区は道が悪く見学には注意)。この地震の直後に発表された論文で、初めて「活断層」の言葉が使われました。郷村断層は海底まで続いていると想定されており、大きな被害はなかったもののこの地震では津波があり、引き波から始まり、5尺(150㎝)程度波が上下したとの証言も伝わっています。なお、北丹後地震では、地震の前に地盤が隆起するという現象が旧網野町周辺日本海側で起こったとされ、地震の起こる2時間半前には、海岸が1.3mも隆起、別の場所でも80cmの隆起があったとのことです。

丹後震災記念館 震災記念塔3月初めの地震とあって、湿った積雪が多い丹後では多くの建物が倒壊(この年は大雪だった)。さらに夕刻に発生した地震により火災も多発しました。特に旧峰山町の中心地は地震動が強く、倒壊率98.8%、焼失率83.6%、死亡率は24.3%という異常な高率となってしまいました。峰山は丹後ちりめんの産地で、織物工場もあり人口が密集して道が狭く、避難や救出が困難を極めました。そして倒壊した家屋に多くの人が閉じ込められたまま、救出される前に猛烈な炎で焼かれるという地獄絵図となったのです。人によっては無傷のまま閉じ込められたものの、家族が必死に救出する間に炎が迫り、見殺しにせざるを得ないという本当に痛ましい状況でした。救出よりもまずは周囲を見渡して、消火を優先することが教訓といえるでしょう。さらに地震の翌日午後からは雪交じりの雨が降り、生き残った被災者も厳しい環境に置かれました。

丹後震災記念館旧峰山町にある「丹後震災記念館」は、被災者の霊を弔い、震災の教訓を活かすことを目的として、昭和4(1929)年に建てられたもので、設計は京都府庁旧本館にも携わっている一井九平です。地上1階、地下2階の構造で、昭和初期の洋風建築を取り入れつつも、震災直後の建物とあって、鉄筋コンクリートで窓を極力小さくしているのが特徴。武道館(元講堂)には、画家である伊藤快彦によって震災の惨状が描かれた3枚の油絵が掲げられています。平成17年には京都府の文化財にも指定されましたが、残念ながら鉄筋コンクリート造りであっても老朽化により耐震基準を満たさず、2012年から閉鎖されています。2018年の朝日新聞の記事では、内部には黒や緑のカビが広がってしまっているようで、この絵だけでも保存できないものかと思います。また、記念館の隣には震災記念塔もあり、応時の出来事を伝えています。京都の図書館であれば、北丹後地震の詳細な記録も閲覧できるところが多いでしょう。涙無しでは読めない証言も多いですが、京都で起きた大地震の記録として多くの方に知っていただければと思います。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。

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