8月9日に壬生寺で壬生六斎念仏踊りが今年も行われました。約90年ぶりに復活した手毬唄という演目や、3年ぶりに獅子も登場しました。

夏の風物詩と言えば六斎念仏踊り。京都近郊の農村部に伝わっているもので、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。その多くが観客を楽しませる芸能的な要素が強い芸能六斎で、様々な演目で見る者を魅了します。今年も新型コロナウイルスの影響で中止が発表される中、壬生六斎念仏は、例年8月9日に壬生寺の万灯会にあわせて奉納があり、縮小しつつも今年も奉納していただけました。

今年は演目は例年に近いながらも時間を短縮して1時間ほどの奉納となりました。それでも約90年ぶりに復活する「手毬唄(てまりうた)」という演目が披露され、獅子や土蜘蛛が登場するなど、例年のような雰囲気で楽しませていただきました。

また、先行して「朱三六斎念仏キッズ」の子どもたちによる棒振りや獅子と土蜘蛛の奉納がありました。朱三は朱雀第三小学校のことで、かっこよく練習の成果を見せてくれました。

19時になると本堂に向かっての発願から鉄輪(かなわ)→四季の奉納に続き、四ツ太鼓が奉納されました。今年デビューの4歳の少年から熟練者までが同じリズムで次々に太鼓を叩いて行き、テンポの変化もさることながら、片手打ち、両手打ち、二人の相打ち、回り打ちなど、多彩な打ち方があり、最後はドラマーも顔負けの名人芸!見事な技は何度目にしてもすごいと感じます。最初の少年には大きな拍手も送られていました。

壬生六斎といえば、やはり「祇園ばやし」の”棒振り”が人気の演目。祇園祭の綾傘鉾での奉納も担っておられます。勢いよく棒を振る様子は拍手喝采でした。

今年約90年ぶりの復興となったのが「手毬唄(てまりうた)」の演目。江戸中期に流行した長唄「京鹿子娘道成寺」に取材した演目で、桜着物を着た女性姿の演者が桜の花びらを丸め、毬つきをする所作がユニークです。最後には袖から手毬を出して配っていき、来年以降も人気の演目となりそうです。最後に動画を載せますのでご覧ください。

また、最後の獅子舞も人気の演目で、逆立ちを見せるのみならず、それを5段に積んだ碁盤の上で披露してくれます。日ごろの練習の賜物でしょう。そして土蜘蛛が登場して糸を巻いていくのも恒例。先端についている重りを3つ集めるとお金がたまるとされ、子どもたちを中心に皆さん集めておられたのが印象的です。

1時間があっという間に感じるほどの充実した奉納。京都の夏の夜の風物詩を見られたことに感謝です。壬生寺の境内では迎え鐘が撞かれ、先祖迎えの祈りもささげられていました。京都もお盆に入り、16日には五山送り火も行われます。壬生六斎念仏の動画は下記からご覧ください。
ガイドのご紹介

京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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