円山公園のしだれ桜

円山公園のしだれ桜が、この暖かさで一気に見ごろになってきました。

円山公園は明治19年に整備された京都市内最古の公園で、園内中央にそびえる立派なしだれ桜は「祇園しだれ桜」と呼ばれる京都を代表する桜の木。正確には「一重白彼岸枝垂桜」といいます。初代は江戸時代から祇園社の坊舎・宝寿院にあった名木でした。しかし明治の初めに、神仏判然令からの廃仏毀釈で寺がなくなり、桜の木も印鑑の材料とするために伐採の危機に瀕しました。その際に、実業家の明石博高（ひろあきら）が五両で買い取り、生きながらえたという話があります。初代の木は明治から昭和初期にかけて円山公園のシンボルとして親しまれましたが、昭和22年に樹齢220年で枯死してしまいました。

現在の木は昭和24年に植えられた2代目です。戦後を象徴するように、徐々に立派な木へと成長して、新たに京都を代表する桜となりました。一時期、樹勢が衰えましたが、近年は再び美しい光景を見せてくれています。

樹勢快復のため周囲には小さなしだれ桜が植えられましたが、年々大きくなり、中央の祇園しだれ桜と一緒に咲くと大変綺麗です。周囲のしだれ桜のほうが中央の祇園しだれ桜より開花が少し早いため、年によっては開花タイミングに差が出てしまうこともありますが、今年は暖かさで一気にすべて見ごろとなってきています。夜桜ライトアップは4月7日まで、かがり火は3月31日までです。ソメイヨシノもこれから見ごろになってきます。機会がありましたら、ご覧になってみて下さい。

ガイドのご紹介　吉村晋弥

京都検定1級に7年連続の最高得点で合格（第14回合格率2.2％）、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都（BS11）「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。