先日、亀岡市にある丹波国一の宮、出雲大神宮を訪れました。
出雲大神宮は、亀岡盆地東部の御蔭山(みかげやま)のふもとに建ち、島根県の出雲大社と同じく大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀り、709年に初めて社殿が築かれたと伝わります。丹波国一の宮としても信仰されました。また、大国主命のお妃として一緒にお祀りされている三穂津姫命(みほつひめのみこと)は、保津川の名前の由来となったともされる神様です。
社伝では、丹波は出雲勢力と大和勢力との境界にあたるとされ、島根の出雲大社は出雲大神宮より分祀したと伝わっているため、別名「元出雲」と称されています。現在の本殿は鎌倉時代の造営で、重要文化財。長寿や縁結びのご利益で信仰され、近年はパワースポットとしても若い方を中心に人気を集めています。
境内には真名井の水という名水も涌き、汲みに来る方もおられます。社殿は山ふもとという立地もあり厳かな雰囲気を感じます。本殿に参拝後はぜひ木々に囲まれた鎮守の杜を抜けて、下の磐座(いわくら)まで足を延ばしてみて下さい。祀られている巨石に古からの歴史を感じることができます。最近は立ち入り禁止ですが、磐座の近くには古墳もあり、五世紀~六世紀前半に築かれた横穴式石室を持っています。神社の近くには前方後円墳の千歳車塚古墳もあり、この地には古くから有力氏族がいたこともうかがえます。
お時間に余裕のある方は事前に社務所で受付をして、上の磐座まで登ってみてください。スサノオノミコトをお祀りする上の社から先に進んだ場所が登り口ですが、上の磐座まではさほど遠くはありません。上の磐座は、いくつかの石を総称する磐座群で、御蔭山に鎮まった国常立命(くにのとこたちのみこと)の象徴とされています。こちらも神聖な雰囲気を感じる場所です。出雲大神宮へは基本的には自家用車などで向かうのがよいですが、本数は少ないものの亀岡駅からバスも出ています。
境内には因幡の白兎のお話にちなんでかウサギ像があり、昨年が卯年だったこともあり、その数が増えました。また、夏場には風鈴も下げられ、風が吹くと澄んだ音が響いていました。風鈴に付ける短冊を奉納することもできます。機会がありましたら、足を延ばしてみてください。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥
京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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