7月28日に丹後の伊根浦で伊根祭が行われました。

毎年7月最終土日に行われるのが伊根祭。舟屋で知られる伊根浦のお祭りで、通例の「例祭」では、地区ごとに祭礼船などが出て、西の亀島地区(亀島地区は東西に飛び地となっています)にある八坂神社で太刀振りの奉納などが行われます。

伊根祭は京都検定のテキストにも載っており、「海の祇園祭」としても知られますが、実は「海の祇園祭」と呼ばれる所以は、大漁の年に開催される「大祭」の時に出る「船屋台」があることです。この船屋台は複数の小舟をつなぎ合わせて大きな屋台上の建物をその上に組み立て、船屋台の上で芸能を奉納する豪華なもの。江戸後期に滋賀県長浜の曳山祭の流れをくんで取り入れられたといい、京都の祇園祭の山が海上を進むようにも見えるため、「海の祇園祭」と称されるのです。

船屋台は本来は4隻ありますが、直近では2012年に立石地区が1隻出したのみ。4隻すべてが出されたのは平成5(1993)年が最後で、その前は平成2(1990)年だったそう。さらに前には昭和に4回、大正に5回、明治に7回出ているそうです。すなわち最近では船屋体を見られる機会はほとんどなく、「海の祇園祭」としての伊根祭は”幻のお祭り”と言ってもよいのではないでしょうか。

2024年は通例の「例祭」で、船屋台は出ず、亀島地区の神楽船と祭礼船、さらに平田地区の船が幟(のぼり)と傘を船の上に立てて伊根湾を行き来しました。伊根はやはり船で結ばれた集落だということがよくわかるお祭りでした。

さて、11時30分頃になると平田地区の公民館(場所が分かりにくいです)から幟や行列が出発して八坂神社へ向かいます。所々で幟を立て、雅楽の生演奏も地元の方々が演奏しているのが印象的でした。時間差で子ども神輿も出発して地区を行き来しました。

八坂神社はきつい階段を登った場所にあり、大きな幟を引き上げるのも一苦労です。神前では稚児による儀式が雅楽の演奏とともに行われました。続いて境内の八幡神社に場所を変えて同様の奉納がありました。この頃には対岸の東の亀島地区から神楽船や祭礼船が出発し、徐々に近づいてくる様子が確認できるようになります。

平田地区の一行は奉納を終えると神社を下りて休憩に入り、その後、近くの船に乗船して東の大下神社(大下大明神)まで海上渡御を行います。船には傘が乗っていました。

今回は、亀島地区から二隻の船が到着する場面を見ました。祭礼船からは太刀振りの少年たちが上陸し、非日常の雰囲気となります。もう一隻の神楽船からは演奏用の屋台も降ろされ、さっそく神楽の奉納も行われました。一気に祭らしい華やかさを感じる場面です。

続いて亀島地区の皆様も八坂神社へと登り、奉納を行います。神楽の屋台は大きいのですが神社の急な階段を登り境内へ入ると、駆け回る荒々しい動きを見せます。神楽の音が響きわたる中で、鐘や棒振り・太刀振り・獅子舞が神前をゆっくりと回りました。

そして棒振りや太刀振りの奉納が行われました。時折動きが早くなったり、最後には「国家安康」の軍配を持った少年が現れて「ばんざーい」と声を出して終わる様子が面白いです。獅子舞も丁寧に奉納があり、もろもろで45分間ほどの奉納です。最後は神楽の屋台が勢いよく階段を下りていき、となりの正法寺で休憩に入っておられました。

亀島地区の一行は、15時30分過ぎに再び船に乗る準備を始め、準備が整った15時45分過ぎに、来た時と同じ2隻の船で伊根湾の南にある青島に向かって出発していきました。海上でも太鼓の音が響き、太刀振りの少年たちは太刀を回しながら進んでいきます。青島には蛭子神社があるそうで、しばらくして島に上陸すると、八坂神社と同様の奉納が行われたようです。

今回は青島へ船が向かう様子を見て伊根を後にしました。いつかまた「大祭」の船屋台が出る年に「海の祇園祭」たる伊根祭の見事さを目にできればと思います。祭りの様子は動画もありますので、ご覧ください。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技は
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