先日、洛西竹林公園と竹の径を訪れました。例年は竹が美しい季節ですが、今年は異変が起きており、来年のタケノコが大変心配な状況です。

今年は9月15日から旧暦8月に入っています。旧暦8月は別名「竹の春」と呼ばれる時期でもあり、秋らしくなってくる今時分に、竹は盛んに新葉を出します。若竹が育つ一方でまだ日光は十分にあり、竹は春を謳歌しているような瑞々しい緑を見せてくれます。反対に「竹の秋」は旧暦の3月の別名で、竹の葉は茶色くなり散っていきます。竹は、春と秋が逆転しているかのような面白い植物です。京都は嵯峨野をはじめ各地で美しい竹林を目にできますが、京都市と向日市の境目に沿ってある洛西竹林公園や竹の径(みち)も、おすすめです。

洛西竹林公園は、洛西ニュータウンの開発に伴ってかつての竹林が姿を消す中、竹林を積極的に保存する目的で作られました。植物資源としての竹の生態的な特徴が観察できるよう、様々な種類の竹が植えられ、珍しい竹の花が咲く期間を計るための竹林などもあります。竹の資料館では、竹についての様々な展示があって、たいへん勉強になります。

こうした竹や笹に関する公園や資料館は全国的にも珍しく、竹について知りたいことがあれば、洛西竹林公園に来ればたいていのことは分かりそうです。また、京の伝統工芸品としても名高い竹製品も数多く展示・販売されています。茶室や和風庭園もあって、有料で使用することもできます。そして、高低差のあるお庭・生体園は、美しい竹が整備され、その種類は110種類にも及ぶそう。竹林の美しさを、様々な角度で感じられる公園となっています。また、洛中にあった百々橋(どどばし)が移設されていたり、地下鉄工事で出土した旧二条城(織田信長が将軍・足利義昭のために築いたもの)の石仏群も置かれています。

洛西は、タケノコの産地としても知られ、美しく整備された竹林が向日市から長岡京市にかけて見られます。この竹林の景観を保全するため環境整備(放置竹林対策・不法投棄予防)を行って、向日市特産の孟宗竹を使って整備されてきたのが、全長1.8kmにも及ぶ「竹の径(みち)」です。洛西竹林公園の前から続いており、併せて散策していただくのがおすすめ。この道を歩いていると本当に気持ちがよく、先の見えない竹林の間を抜けて非日常の空間へと誘われていくよう。CMの撮影にも使われています。竹林公園や竹の径への交通手段は、自家用車か、阪急桂駅から市バスで南福西町で降りて歩く方法があります。2021年に付属の「子ども広場」がリニューアルされたため、駐車場は混みあうこともあるかもしれません。道は狭い場所もあるため、すれ違いの際には脱輪にもご注意ください。

また、今年は10月18日・19日17時30分~20時(小雨決行)に恒例の「竹の径 かぐやの夕べ」が開催されます。多くの竹灯籠が並んで幻想的な夜です。公共交通機関で訪れてみて下さい。

実は昨年からモウソウチクを中心に、外来の蛾であるシナチクノメイガなどノメイガ類による被害が広がっており、幼虫が竹の葉を丸めるように食べてしまうため、光合成が阻害され、親竹が徐々に弱って枯れて行ってしまうのです。今年の春はタケノコが大凶作だったのですが、今年は蛾の被害がさらに深刻で、洛西竹林公園でも亀甲竹などで明らかに被害が出ており、竹の径でも葉が枯れてしまった親竹が見られます。全滅というわけではありませんが、相当深刻な被害です。

シナチクノメイガが日本に入ってきたことが確認されたのがまだ5年前で、蛾の生態を含め詳細がわかっておらず、農薬散布などの対策は手探り状態とのことです。「京たけのこ」として、手間のかかる栽培法でブランド化もされている洛西乙訓のタケノコですが、来年の春の収穫量がさらに減ることが予想されています。また私個人の感想としては、枯れた親竹の状態で今後も手入れを続ける気力が湧いてこなくなってしまい、廃業も加速するのではないかと大変心配をしています。タケノコ産業にとって未曽有の大危機と言っても過言ではないレベルだと感じます。

本来は「竹の春」で青々とした竹林が見られる時期ですが、茶色くなった竹林(タケノコ畑)を目にするのは第三者からしても大変つらいものがあります。何とかよい対策が見つかることを心から願っております。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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