革堂のフジバカマ

寺町通では、10日にかけて藤袴祭が行われ、特に革堂(こうどう)は、甘い藤袴(フジバカマ)の香りに包まれています。

革堂

革堂(こうどう)は正式には行願寺と称するお寺で、西国三十三所観音霊場の19番札所として信仰を集めています。元は上京(一条小川)にあり、有事には町の人々が集うお堂でもありました。創建は1004年とされ、行円上人によって建立されました。行円上人は、まだ狩人だった時に一頭の牝鹿を射止めたところ、血を流しながらも子鹿を出産した姿を見て心を打たれ、仏門に入ったと伝わります。行円上人は、日ごろから鹿の皮衣をまとっていたところから「皮聖(かわのひじり)」と呼ばれ、上人が拠点とした行願寺も「革堂」と呼ばれるようになりました。

革堂

現在の本堂は、文化12(1815)年に建てられ、堂内には行円上人作と伝える本尊の千手観音像が祀られています。行円上人は賀茂(加茂)社の領地に生えたという不思議な槻木(つきのき:ケヤキ)から刻んだものとされ、境内に建つ加茂明神石塔が賀茂社とのつながりを伝えています。

加茂明神石塔

ご本尊は以前に間近で参拝をしたことがありますが、腕の部分に手の彫刻が無数にあるという、他では目にしたことがない造形でした。10月10日までは堂内の特別内拝が500円で行われており、距離があるかもしれませんが、堂内で参拝することができます。また、革堂は都七福神巡りの「寿老人」を祀る寺としても知られ、境内には様々な神仏が祀られていますので、ぜひじっくりとご参拝下さい。

革堂

さて、現在の境内では原種のフジバカマの鉢植えがたくさん並び、甘い香りが漂っています。2017年から例年この時期に開催されている藤袴祭に伴うもので、寺町通界隈にはフジバカマの鉢植えが各所で見られます。下御霊神社にも多数の鉢植えが置かれていました。10日までは藤袴祭のイベントも行われていますので、この機会に足を延ばして頂くのもおすすめです。7日は雨となりましたが、天気がよければ香りに誘われて蝶が舞います。また革堂は猫が多く、猫とフジバカマという取り合わせも楽しめるでしょう。

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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