8月23日に、南丹市美山町鶴ケ丘「殿」と「盛郷」の2か所の「上げ松」を見に行ってきました。今回は「殿」の上げ松をご紹介します。

京都市街地から北部の地域では、8月に「松上げ」や「上げ松」という行事が伝わっています。有名なのは”花背(脊)の松上げ”や”広河原の松上げ”で、京都バスの松上げ観賞バスが運行されており、移動や見学の段取りの心配がない点で比較的見やすい行事でしょう。また、雲ケ畑では文字を灯す松上げも行われています。

同じような行事はさらに北の地域でも行われており、”小塩の上げ松”と呼ばれる、京都市右京区京北町の行事や、福井県に近い南丹市美山町殿(との)・盛郷(もりさと)・川合(かわい)・芦生(あしう)の4か所の上げ松(芦生は松上げと呼ぶ)、舞鶴市の”城屋の揚松明”もあります。城屋の揚松明は、昨年にブログでもご紹介した大迫力の火祭でした。さらに福井県小浜市にも同様の行事があるなど、広範囲で行われています。

今回は南丹市美山町の4か所の上げ松のうち、殿と盛郷の2か所の上げ松を見に行ってきました。「美山町観光情報サイト 京都美山ナビ」によると、残りの川合・芦生の上げ松は地域住民向けの実施で、2025年は一般には公開されていないようです(川合は以前は公開されていた情報もありました)。

殿・盛郷・河合は、いずれも鶴ヶ丘地区と呼ばれる棚野川に沿った集落で、川沿いで上げ松が行われます。今年は殿・盛郷とも土曜日の8月23日の20時頃からでしたが、2023年は殿が8月19日、盛郷が8月26日、川合が8月24日の開催で、統一されているわけではないようで、年によっては日程が別れる可能性がある点もご注意ください。

2箇所ともに、駐車は可能ですが専用の駐車場はありません。殿は「ムラの駅たなせん」の周辺に駐めることができました。盛郷は、国道162号線沿いは警察も出て駐車することができませんのでご注意を。橋を渡った辺りに駐車する車がほとんどでした。たなせんの前では、「鶴ヶ岡大踊り」という行事もあり、地元の方々が集まって盛り上がり、露店も出ていました。

美山町の上げ松は、農作物の豊かな実りへの感謝と火の神「愛宕神社」への火難封じの願いを込めて献燈されるとのことで、手投げの松明を、高さ16m~20mを超える「灯籠木(とろぎ)」の先端に付く「もじ」と呼ばれる竹籠へ投げ入れて点火します。

殿の方が高さが16mほどとやや低く(殿の灯籠木の高さは京都新聞の記事より)、盛郷は可動式で高さが調整できるのがたいへん興味深かったです。同じ日程であれば、殿と盛郷の上げ松をそれぞれ見ることも不可能ではありませんが、徒歩での移動は距離があるため、車で移動することになります。低い方が松明が届きやすいため、先に殿、次に盛郷という流れがよいでしょう。ただ、暗い中での移動となりますので、周囲の安全には十分にご注意ください。

前置きが長くなりましたが、殿の上げ松は直前に行っても十分に見られる人出でした。上流下流の橋には灯りもともされています。19時半過ぎには笛や太鼓が聞こえはじめ、19時45分頃からは灯籠流しも行われていました。上げ松は、20時より早く19時50分過ぎには始まりました。

投げている人数や観客は多くはありませんが、地元の方々が歓声をあげながら見守ります。高さがやや低いためか、早くも20時頃には「もじ」に松明が入り、燃えだしました。実はここからがユニークで、「もじ」の中には花火が入っており、突然激しく燃え上がったり、火花が飛んだりしました。大変面白い趣向です。地元の方も火が点ってからを楽しみにしておられるようでした。

花火が燃えてだんだんと火の粉が落ちてくるようになると、灯籠木を綱でひっぱて揺らし、「もじ」からさらに火の粉を落とします。そして最後は灯籠木を倒していきます。大きく火の粉が舞い上がって迫力の場面でした。花脊や広河原の松上げも同様に最後は倒されますが、観客が多く大きな歓声が上がります。一方で殿の上げ松は、比較的静かに倒れて行った印象でした。

灯籠木が倒れて河川敷に広がった炎は地元の皆様によって消されていきました。時間はまだ20時10分頃。30分くらいかかると思っていましたが、予想より大幅に早く終了となりました。上げ松は入るまで投げ続けますが、やはり高さが少し低い分、入りやすかったのではと思います。とはいえ終了時間はその年によるかと思います。

この後、車へ戻って盛郷へと移動をし、まだ続いていたもうひとつの上げ松を見てきました。その様子は改めてご紹介します。殿の上げ松の様子は動画もありますので、よければご覧ください。なお、鶴ケ丘地区の諏訪神社では、10月5日に「棚野の千両祭」が20年ぶりに行われます。こちらにも個人的に訪れる予定にしており、楽しみです。
ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に8年連続の最高得点で合格(通算10回合格。第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。
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