無鄰菴 色付き始めた紅葉


東山では無鄰菴の紅葉も色づき始めて、なかなか美しい光景を見せてくれています。

京都の紅葉は一気に進んできた印象です。今日は嵐山・嵯峨野へと足を延ばしてきましたが、清凉寺や滝口寺では見頃でした。近日中に、美しい写真でもご紹介予定です。この秋の「そうだ京都、行こう。」で紹介されている二尊院や、世界遺産の天龍寺は木によっては綺麗に色づいてきています。一方で、常寂光寺や厭離庵、祇王寺、法厳院はまだまだこれからといった印象。紅葉は日当たりのよさなどで同じお寺の中でも木々が色づく順に大きな差があり、全体的にはまだ「色づき始め」というステータスのところがほとんどではあります。

さて、無鄰菴の紅葉ですが、こちらも「色づき始め」ではあるものの、七代目・小川治兵衛が作庭した見事な緑の庭の中に、赤の色彩が加わる様子が非常に美しくなっています。無鄰菴は明治27年から29年にかけて、明治・大正期に活躍した山県有朋の別荘として造営されました。東山を借景として、開通したばかりの琵琶湖疏水の水を取り入れ、三段の滝や池、洋風に芝生も配された池泉回遊式庭園です。

建物も木像の母屋と茶室に加え、洋館があります。明治36年に山県有朋・伊藤博文・桂太郎・小村寿太郎らがここに集まって、日露戦争開戦直前の外交方針を決める「無鄰菴会議」が行われました。洋館には狩野派の見事な障壁画の部屋もあり、和様が合わさった明治の雰囲気を感じることが出来ます。紅葉も白い洋館に映えていました。

紅葉は庭の各位置から異なった印象で楽しむことが出来ますが、私のお勧めは母屋に上がってゆったりと眺めることです。額縁のように景色を切り取ってみると歩いた時とは異なった印象を受けることでしょう。天気がよければ縁側に座ってみるのもよいかもしれません。南禅寺や平安神宮のほど近くにありながら、比較的穴場として静かな時を過ごせることでしょう。かつての総理大臣が愛したお庭の紅葉。これからますます赤く色づき、訪れる人を楽しませてくれます。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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