東山にある安井金比羅宮の境内に、いかつい表情の八大力尊が鎮座しています。
安井金比羅宮は「縁切り縁結び」のご利益で知られる神社。境内には、異様な姿の「縁切り縁結び碑(いし)」があります。お札に縁を切りたいもの縁を結びたいものの両方を書いて、碑の中央に開いた穴をくぐって往復し、最後にお札を碑に貼って祈願をするというもの。ガイドブックにも載っている有名なパワースポットです。
そんな神社の境内奥にあるのが八大力尊社。いかつい表情の力士のような存在が八体鎮座しているお社です。以前は説明版がなく、どんないわれがあるのか分かりませんでしたが、昨年の平成27年10月に社殿が建替えされたことに伴い、今年4月に説明版が設置されました。それによると、この八大力尊は、詳細は不明ながら蓮華光院の御堂の柱を支えた力石であったそう。実は、安井金比羅宮はもとは蓮華光院の鎮守社でした。しかし、明治の神仏分離で蓮華光院は大覚寺に合併されて廃寺となり(建物の一部は「安井堂」として大覚寺に現存)、安井金毘羅宮だけが残されたのです。
八大力尊は、その後に地中から発見されたものだそうで、安井金比羅宮に残る唯一の蓮華光院ゆかりの遺物だそうです。そうして眺めるとなんとも歴史の生き証人のような姿にも見えてきます。実はこうした力石は、西本願寺などでも見られ、東寺や仁和寺などの塔の屋根を支えている天邪鬼(あまのじゃく)の彫刻も同じ部類に入るでしょう。
八大力尊は建物を長年支え続けたということから、基礎を固めて逆境や困難に打ち勝つ力、社会を生き抜く能力を授けてくださるとされ、他にも基礎力の向上、スキルアップのご利益もあるとして崇敬されています。社務所では今年の5月から八大力尊の絵馬も授与されていますので、縁切り縁結びのみならず、この八大力尊社にもご参拝を頂くとよいでしょう。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。