先日、特別公開中の相国寺の豊光寺を訪れると、境内の梅が見頃でした。
3月18日までの「京の冬の旅」の特別公開で、法堂・方丈、豊光寺、林光院の3か所が開いている相国寺。連日多くの人が訪れているようです。特に、林光院の猫のような虎の絵が「ネコトラ」として人気があり、境内の鶯宿梅(おうしゅくばい)は、白梅の中に紅梅が混じる「思いのまま」という品種で、本格的な開花を心待ちにしている方もおられることでしょう。お寺の案内の方によると、今年は林光院の梅の見頃はまだこれからで、特別公開が終わる頃に訪れるのがよさそうです。
一方の豊光寺は、入り口の門をくぐってすぐに植えられている紅白の梅の写真を撮らせていただくことができ、私が訪れた3日の時点で見ごろとなっていました。豊光寺は豊臣秀吉の追善供養のために創建された塔頭で、寺名の「豊」の字がその歴史を伝えています。寺は明治期に相国寺派の初代管長となった荻野独園(おぎのどくおん)和尚が再興し、その書や頂相が公開されています。また、合併した別の塔頭・恵林院(けいりんいん)からのゆかりで、足利10代将軍義稙(よしたね)の肖像画も伝わっています。
建物内部の庭園は撮影ができませんが、カエデの木が多いため、秋もさぞ綺麗なのだろうと思いました。荻野独園和尚は、新島襄が同志社英学校の土地を相国寺の南に求めた際に、寺内の反対意見をいさめた人物でもあるそう。同志社にとっては恩人のお寺ともいえそうです。たまたまだろうとは思いますが、新島襄が好んだ梅が、豊光寺にも植わっています。この機会に足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。