三船祭 2011年


15日は嵐山で三船祭が行われました。今回は非常に運がよく、龍頭船からの舞楽を目の前で披露していただけました。
三船祭は、車折神社(くるまざきじんじゃ)のお祭りです。昭和3年に始まりました。車折神社を出発した行列は、渡月橋を渡って船に乗り込み、大堰川(おおいがわ)で約2時間の船遊びを披露してくれます。名前の由来は、白河天皇の時代に「漢詩」「和歌」「奏楽」のそれぞれに長けた者を三隻の船に載せたことによります。今年は数日前の雨で川が増水していたため、一般客の船は中止となりましたが、御座船(ござぶね)や、舞楽を披露する龍頭船、お茶を披露する鷁首(げきす)船などの21隻の船を見ることができました。
川に扇を流す扇流船(おおぎながしぶね)からの扇は川面に浮かび、下流の船の乗員が拾っていきます。雅楽や尺八の音が響く優雅な空気。平安時代の貴族が遊んだ光景も、さぞ風流だったのでしょう。藤原公任(ふじわらのきんとう)が、和歌の船に乗って素晴らしい歌を詠んで称賛されながらも、「漢詩の船に乗ったならばもっと名声が上がったろうに」と悔しがった話を思い出します。
私は、三条通から渡月橋を渡った側の一番前で見ていました。本来こちらはあまり船が来ない方です。というのは、川はこちらの方が深く、船を操る竿さばきも難しいからだそう。今年は船の数も少なく水も増水しているため「例年よりもこちらには船が近寄らないよ」と船頭さんから聞いていました。日陰でかつ対岸よりも人が少なめで見られるメリットはありますが、確かに船は遠い。見やすい場所へ移動していく人もいる中でも粘っていると、なんと私が座っていた場所の前に龍頭船がやってきて舞楽を披露していただけました。どうやら私の後ろに、舞人のご家族の方がいらっしゃったようです。非常にラッキーです。
舞は、小さな子供・小学高の高学年くらい2名・中学年くらい1名の三パターンがありました。どれもかわいく堂々と舞っています。舞の様子は動画でアップしました。デジカメの動画機能ですので手ぶれもありますが、しばし平安時代の雰囲気をお楽しみください。
船での遊戯が終わると、一行は渡月橋のたもと付近にある頓宮へ御神霊とともに向かいます。ここでも運よく良い位置取りができ、様々な貴重な写真を撮ることができました。頓宮に入る際には、御神体が人の目に触れぬよう白い布で覆い隠して行きます。なお、葵祭が葵の葉ならばこちらは紅葉を頭に付けて歩きます。
さて、三船祭は例年5月の第3日曜日に行われます。今年のように葵祭の行列(路頭の儀)と、三船祭が同日に行われるのは基本的には6年に1回です。私は午前中に葵祭の行列を見て、午後から嵐山に移動するダブルヘッダーでしたが、葵祭は河原町通でじっくりと、三船祭は車折神社の行列開始から船遊び・頓宮へ入御も見られ、どちらのお祭りも存分に堪能することができました。お天気もよく、京都の雅を感じるには素晴らしい一日でした。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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