石清水八幡宮の鬼やらい神事


29日は、石清水八幡宮で一足早く節分の豆まき、鬼やらい神事が行われました。

今年の節分は2月3日で、二十四節気の「立春」の前の日です。厳密には、立春だけではなく立夏・立秋・立冬のそれぞれの季節の分けめに「節分」があります。なかでも立春は新年とも関わるため、節分の風習も色濃く残ったようです。京都の節分は、一年で最も多くの社寺で行事が行われる日ではないでしょうか。あちこちで同時に行われるため、どこで何を見るかは迷ってしまいますね。有名なのは吉田神社や廬山寺でしょう。芸能人が豆をまく場所もあります。大小問わず、本当に京都中の社寺で神事や法要が行われますので、機会がありましたら是非ご覧ください。

石清水八幡宮では、京都市街地の社寺に先駆けて、節分前の日曜日に鬼やらい神事を行います。地元の方によると、数年前まではそれほど人が押し寄せる行事ではなかったようですが、近年は非常に多くの人が集まる行事となっています。報道などでも紹介されているためでしょう。あるいは境内外で話題のB級グルメの屋台を集めた「新春うまいもの市」も行われているためかもしれません。混雑ぶりを見た地元の方の嘆き気味の声には、観光都市の華やかさの一方で、戻れない道を歩んでいく京都の影の部分も垣間見たようでした。

石清水八満宮の鬼やらい神事は、午後1時と2時にそれぞれ同じ内容で二回行われます。最初に神事が行われます。まず、邪気を払う桃の枝を付けた弓を四方と恵方に向けて射るしぐさをして鳴らし、神職は「おぉ~!」と声を上げます。邪気を払うために弓を鳴らすのは、平安時代からの儀式、鳴弦(めいげん)で、当時は天皇に近い場所で警護した「滝口の武士」によっても行われていました。酒呑童子(しゅてんどうじ)などの「鬼退治」を果たした渡辺綱の子孫は、渡辺党と呼ばれ滝口の武士を務めていきます。この鬼やらいで鳴弦が行われている由緒の一端やも知れませんね。いずれにせよ、こうしても現代にも1000年も前からの儀式が残っていることは面白いことです(以上は私の勝手な感想で、鳴らしているのは単純に矢を射ると危険だからという理由かもしれません)。

弓を鳴らした後は、同じく桃の枝を刀のように持って「鬼やろう」の掛け声とともに四方と恵方を切ります。やはり邪気を払うのは「武」であって、武士の台頭も怨霊やモノノケが強く信じられた当時の信仰と結び付ける説もあります。さて、以上の儀式が終わると、太鼓が鳴りだして、いよいよ鬼が境内へと入ってきます。鬼はのっしのっしと歩みを進め、子どもたちを見付けるとうなり声をあげて脅かしていきます。境内には子どもたちもたくさん来ていて、泣きだす子もいれば笑って鬼に頭をなでてもらう子もいます。大人たちはその様子を笑顔で見ています。鬼たちは、文字通りの鬼気迫るうなり声を出すので、怖かった子供は相当に恐ろしかったことでしょう。

本殿前に着いた鬼たちは、前に居並ぶ神職たちや福娘・年男・年女に襲いかかろうとします。が、神職たちはすでに豆のスタンバイは万全!「鬼やろう~」のかけ声とともに勢いよく豆をぶつけて鬼を退散させます。鬼は本殿前の坂を見事に転げ落ちて行きます。その様子には笑い声も出ていました。鬼は勢いよく駆けあがっていくので結構迫力もありますが、何度襲いかかろうとも豆をぶつけられてしまうので、鬼たちはたまらず退散していきます。子どもたちも一安心のようでした。

鬼が追い払われた後は、福豆が撒かれます。こちらを楽しみに来られている方も大勢いて、人の圧力はすごいです。結構な数が巻かれますので、比較的取れる確率は高いでしょう。福豆を狙うならば、列の最前列よりも中盤辺りの方が飛んできやすいです。撒く側もやはり遠くへ後ろへと撒いて行きますので、最前列で全然飛んで来ずにがっかりしている方もお見受けしました。今回は、私も一つ頂くことができました。

さて、今回は運よく、よい位置で動画も撮ることができました。豆まきなどの場面を是非動画でもご覧ください。なお、そのほかの写真はFacebookでも公開しています。

福豆が撒き終わると神事は終了です。ただ、鬼たちは門の外で気さくに記念写真に応じていました。当初は怖がっていた子どもたちもだんだん慣れてきて、一緒に写真を撮ってもらったり頭をなでてもらったりと大人気です。この時期は豆をぶつけられて苦労の絶えない鬼ですが、単に悪者としてではなく、こうして実は優しいという一面も見せてくれました。最後には、帰っていく鬼たちに手を振る子どもたちを見て、ほほえましく感じました。

さて、2月2日・3日には京都市内でも節分の行事が目白押しです。特に2日は”今シーズンの”寒波の底となりそうで、非常に寒いでしょう。吉田神社の夜の行事などに出かけられる予定の方は最大限の防寒対策、状況によっては雪対策でもってお出かけ下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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