京都マラソン 白い大文字(だいもんじ)


東日本大震災から1年。京都では「京都マラソン」が初開催され、大文字山では、犠牲者追悼と復興を願って「白い大文字」が人文字で作られました。

本日(11日)午前中は「まいまい京都」さんにて、京都の災害史の散策を行わせていただきました。定員いっぱいまでお集まりいただき、ご参加頂きまして誠にありがとうございました。地震や水害、台風・火災と京都も過去には数々の災害に見舞われてきた都市。そして1000年も前の災害記録が残っている、他に類を見ない都市でもあります。気象予報士として学んできたこともお話ししながら、京都旅屋としても、別のコースなどで災害史の散策は今後も行っていきたいと思います。また、アンケートで頂きました貴重なご意見も、次に活かして参ります。

さて、初開催の京都マラソン。この時間まで特に混乱の記事も見つかりませんでしたので、無事に終了したといってよいのでしょうか。朝、少し中継を見ていましたが、ものすごい人数の方々が一斉にスタートして行く様子は圧巻でした。走るコースは7つの世界遺産の近くを通り、西は嵐山から北は国際会館、東は銀閣寺前で、ゴールは平安神宮前。途中は登りあり下りあり、鴨川の河川敷もありと、変化に富んだコースとなっています。

平安神宮前はゴールの直前で、最後の力を振り絞って走っていかれる方々が次々に通り過ぎて行きました。42.195kmを改めて地図上で見ると、こんなに走れるのかと思う程の長い距離です。きっと走り終えた方にはとてつもない達成感が残るのでしょう。ランナーの皆様は本当にお疲れ様でした。

大文字山では、地元の第三錦林小学校の生徒や保護者の皆様が、地震が発生した午後2時46分に黙とうの後、白い画用紙を掲げて人文字で「大文字」を形作りました。白い大文字は戦時中にも行われたことがあります。徴兵で人が足りず、灯火管制が厳しくなって火も焚けない。そこで、地元の小学生と住民は白シャツを着て早朝の山に登り、人文字で「大」の文字を作りました。送り火は、お盆の期間に戻ってきた亡くなった方の魂が、迷わずに帰っていけるようにという道しるべの意味があり、また、室戸台風で京都中の木々が倒れた翌春に供養のために点灯されたこともあるように、追悼の意味を持つ行事でもあります。

今回は大文字山が見わたせる場所へと行ってみました。地元の方と思しき人も数名おられ、その様子を眺めていました。報道のヘリが何台も飛ぶ、少し異様な雰囲気の中で行われましたが、静かに浮かび上がる白い文字に、私も手を合わせずにはいられませんでした。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。テレビで放送された画用紙を掲げた小学生たちのインタビューでは、東北へ明るくエールを送る姿が印象的でした。もう一年、まだ一年。様々なことを考えさせられます。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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