長徳寺と鴨川の早咲き桜


3月も25日。例年ならば早咲きの桜が見ごろを迎えていますが、今年はまだつぼみ。ということで、今回は超早咲きの桜をご紹介します。

出町柳駅の南、砂川の三軒寺の一つ、長徳寺の門前にある「オカメ桜」が見ごろを迎えています。かつてこの付近は河原の砂地で、砂川と呼ばれる小河川が流れていました。萩の寺で有名な常林寺、子どもを背負った子育地蔵が微笑ましい正定院、そしてこの長徳寺は、砂川のそばにあったお寺として砂川の三軒寺と呼ばれました。現在は砂川も姿を消し、お寺もしっかりとした土地の上に立っています。

オカメ桜は、カンヒガンザクラとマメザクラの交配種で、一般的な桜よりも色が濃いピンクの花びらと、少し小ぶりな花が所せましと咲く様子が魅力。色合いの濃い花を咲かせている光景は、離れたところからでもよく目立ち、道行く人を引き寄せています。春にはやはり桜がよく似合います。サクラの語源は、日本神話に登場する神・木花咲耶姫(コノハナサクヤビメ)ともいわれ、美しく儚いものの象徴。私たち人間(天皇)の命に限りが出来たのも、コノハナサクヤビメとの結婚によるものとされています。桜に人生を重ねるのも、あながち間違ってはいないのでしょう。

長徳寺のオカメ桜と一見同じ桜が、今出川通にかかる賀茂大橋を越えた鴨川対岸の南側に咲いています。こちらは2本の桜が並んで立っていて、簡易のベンチもあり、座って眺めることもできます。桜の名は「いぼ桜(伊保桜)」と呼ばれますが、私には長徳寺の桜との見分けがつきません。やはり通りかかる人の目を楽しませ、訪れた時には若いカップルがお弁当を食べていました。ただ、お花見にお弁当(+デート)という最高の場面にも、水を差しかねないのは鴨川のトンビ(トビ)。結構な勢いでお弁当(食べ物)を狙ってくることがあります。今回のお弁当カップルも、危ない場面がありました。怪我の危険もありますので、困りものですね。

今日(25日)は、山科の随心院では「はねず踊り」、市中ではマーチングバンドによる「京都さくらパレード」も行われました。例年は随心院にも、遅咲きの「はねず梅」が咲き、近くの醍醐寺には巨木のしだれ桜が圧倒的な美しさを見せる時期です。今年は24日の段階で随心院の梅園は6分咲きとのこと。4月8日まで延長して公開されるそうです。「はねず」とは、薄紅色のことで、随心院の紅梅は「はねず色」の優しい色の花を咲かせます。市中のさくらパレードは、寒風吹きすさぶ中で行われましたが、元気いっぱいのマーチングバンドは、春にふさわしい明るさと華やかさで、寺町通を通り抜けて行きました。

さて、ソメイヨシノが咲きだすには、あと一週間ほどかかりそうですが、京都御苑・近衛邸跡の糸桜などは来週末には、花見に適するくらいまでにはなってくるでしょう。今年の梅は3週間から1か月ほど遅くなっていますが、ソメイヨシノはそこまで遅れることはない律儀な木。気温予想さえ当たれば、誤差数日で開花日が分かり、しかも同じ地域の木々は一斉に咲き、一斉に散り始めます。これは全国のソメイヨシノが接木(つぎき)で増えた「クローン」であるためで、気温に大差がなければ、どこもかしこもほとんど差がなく花開いて行きます。自生しているヤマザクラなどは、近い場所どうしに生えているものでも個性豊かに開花日が前後し、古のヤマザクラの花見は今よりも幅を持って催されていました。年によって見頃にずれがあるのも生きものの常ですので、その時その時の春を楽しみたいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

より大きな地図で 長徳寺のオカメ桜 を表示

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