知恩院 御忌(ぎょき)の鐘


京都には各宗派の本山が立ち並んでいますが、知恩院は浄土宗の総本山。立ち並ぶ建物の大きさには圧倒されます。現在は、御忌(ぎょき)の法要が行われ、重さが70トンもある大梵鐘も音を響かせています。

御忌(ぎょき)は、浄土宗の宗祖・法然上人がお亡くなりになられた日を期して行われる、知恩院で最も大きな法要です。近年は、三門の上で夜を徹してお念仏を唱え続ける「ミッドナイト念仏in御忌」もインパクトを与えています。法要は18日~25日にかけて行われ、その間に大梵鐘が撞かれる機会があります。

知恩院の鐘といえば、除夜の鐘が圧倒的に有名ですが、実は除夜の鐘は昭和5年(1930年)から始まった行事。それまでは御忌法要で鳴らすのみだったそうです。ということで、歴史の深さではこちらの御忌の鐘も一見の価値があるはず!ということで見に来てみました。実は前日に円山公園付近に差し掛かった時に鐘の音が聞こえ、きっと知恩院に違いないと思って、昨日と同じ時間に鐘の前で待ち構えていました(笑)

鐘が打たれる直前まで、全く鐘を打つような雰囲気はありません。大晦日や12月27日の試し撞きの時には大変な数の人々が押し寄せて、その混雑ぶりは大都会の満員電車と全く変わらないほどですが、御忌の鐘はご存じの方が少ないのか、私のように待っている方は誰一人見かけることはありませんでした。

また、大晦日やその試し撞きでは、僧侶17人で手綱を持つ壮観な光景の中で打たれますが、御忌の鐘はお寺の関係者3名のみで撞かれます。あくまで御忌の行事の一環として、淡々と行われているものなのでしょう。「知恩院の鐘は17人がかり」がご案内でも強調するポイントではありますが、普通に打つ分にはそこまでの人数は必要ないようですね。大晦日に鐘を打つ人数も時代によって少し変わっており、古い文献では15名となっているものもあります。

御忌の鐘は3名で撞く分、声は小さいものの「えーい ひとーつ そーれ」の掛け声は除夜の鐘と同じです。お念仏が唱えられる中で打たれる除夜の鐘の独特な雰囲気とはまた違いますが、変わらないのは打たれた時の大きな音。17人がかりの時と比べても何らそん色はないと感じます。過去のブログで、12月27日の試し撞きや、大晦日の除夜の鐘も動画がありますので、聞き比べてみても面白いと思います。では、宗派の本山にふさわしい知恩院の鐘の大きな音をお楽しみください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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