ツツジ咲く京都 静御前の舞


市内各地ではツツジが見ごろを迎えています。あちらこちらで見られる花ですが、京都の風景ともよく似合う花です。

嵐山にある世界遺産のお寺、天竜寺の参道前もツツジが満開です。天龍寺は四季折々に花が美しく、苔も大変綺麗です。庭の国宝とも呼ばれる国の特別名勝の曹源池庭園もあり、後醍醐天皇・足利尊氏ゆかりのお寺として、格式も高い格式を持っています。是非、建物にも上がって頂き、ゆっくりとお庭を眺めてみて下さい。

京都でツツジのお寺といえば名前が挙がるのが三室戸寺。2万株ものツツジが境内のお庭・与楽苑を覆い尽くしています。苑内にはツツジの間を抜ける道があり、まさに花の道。子どもの目の高さだと、さぞ綺麗なことでしょう。今の時期には、一度は見て頂きたい絶景です。

蹴上浄水場は10日まで一般公開されています。場内には斜面強化のためにたくさんのツツジが植えられており、その数は4000株もあるそう。丸いツツジの刈り込みが立ち並ぶ様子は、少し離れて見るとまさに圧巻です!浄水場の見どころはなんといっても、ツツジのトンネル。花咲くツツジの中へと入っていけば、そこはトトロへ会いに行く秘密の抜け道のよう(笑)是非、忘れずに通ってみて下さい。場内は、高低差を利用して遠方へも水を送るために坂が多く、そのぶん見晴らしも良いです。

今年は京都に水道水が通ってちょうど100年。蹴上浄水場は、琵琶湖第2疏水の開通に伴って、日本最初の急速ろ過式の浄水場として明治45年(1912年)に完成しました。それまで京都市民は井戸水、つまりは地下水に頼っていました。そのため水質も悪く、日照りが続くと枯れてしまうこともあり、水道は非常に画期的なものでした。開業当時の京都の人口は約50万人でしたが、給水人口は4万人程度からスタート。今では当時の20倍以上の給水能力があり、変わらず琵琶湖疏水の水を使っています。

第2疏水は水道水として使うことを目的に作られたため、汚染を防ぐためにその道中のほとんどをトンネルで水を引いています。近年では琵琶湖の水位が下がった時でも取水ができるよう、連絡トンネルが平成11年に開通しました。蹴上の船溜りでは、第1疏水と合流しているところを見ることができます。蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水ですが、先人たちの努力があってこそですね!

神泉苑でもツツジが大変綺麗に咲いていて、池に映る鮮やかな色彩もよいものです。つい先日は神泉苑祭で、剣鉾が出たり、大念仏狂言が行われたりと、境内は賑やかでした。神泉苑の鉾といえば、祇園祭のルーツとなったもの。祇園祭は869年(貞観11年)に京都で疫病や全国的な天変地異が起こった時に、神泉苑に当時の国の数と同じ66本の鉾を立てて、荒ぶる神を鎮める御霊会を催したのが始まりです。この場所で厄払いの剣鉾を見られることに感慨を覚えます。

また、3日の夕方には静御前(白拍子)の舞も披露されました。牛若丸こと源義経の妾として知られる静御前。義経が見初めたのは、神泉苑で行われた雨乞いの舞の時だったともされます(その後の「住吉での雨乞い」との話も)。彼女が舞うと黒雲が湧き立ち、たちまち雨が降ったそう。義経はやがて兄・頼朝に追われ、静も連れ立って逃げていきますが、険しく女人禁制の山であった吉野山を前に、二人は泣く泣く別れることになりました。その後、鎌倉の頼朝に召しだされた静御前。義経の居所は「存じません」と答えるばかり。静は舞の名手ということで、鶴岡八幡宮で舞を舞うようにいわれます。「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の あとぞ恋しき」。彼女は義経をしたいながら、美しく舞ったといわれます。「反逆人を恋い慕うとはけしからん!」と激怒する頼朝、「殿、許してやってください。けなげな女心、私にも痛いほどよくわかります」と制する妻の政子。時を超えて人々の胸を熱くさせてくれるエピソードです。静はその後、京に戻りますが、二度と義経と逢うことはできませんでした。

静御前の舞は、神泉苑にかかる赤い橋・法成橋の上で行われました。時刻は薄暗くなりだした夕暮れ。静御前は、白拍子の名前の由来ともなった白の水干に、色鮮やかな赤い袴、そして黒い烏帽子を身につけています。法成橋の明るい朱色も加わって、薄明の明かりの中、コントラストの強い衣装が一層引き立って見えました。私好みのお箏の現代邦楽の音色にあわせた優雅な舞は、本当に美しく綺麗です。空には黒雲が残り、曲や雰囲気は違えど、平安の昔に静御前が舞った時にも、このような空が現れたのかもしれません。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

「ツツジ咲く京都 静御前の舞」への2件のフィードバック

  1. 京都は新緑の爽やかな季節になりツツジのピンクも鮮やかで綺麗です。静御前が舞う優雅な姿には物語の歴史を知って拝見すると舞に込められたいろんな思いが伝わってきそうです。

    1. 抹茶さん
      コメントありがとうございます。
      舞は本当に優雅でした~
      歴史や物語を知っていると、より京都を楽しむことができますね!
      もっと勉強をして、お客様と一緒に感動を共有できればと思います。

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