春一番と桜開花予想


いよいよ3月に入りました。春一番についてや各社の桜開花予想などをご紹介します。

今日(1日)は、関東や九州、中四国で「春一番」が発表されましたが、近畿では発表されませんでした。大阪湾周辺までは南からの強い風が吹いて気温も大きく上がりましたが、京都では風が吹かず、気温もそれほど上がりませんでした。気象で使われている用語はあいまいなようで実は明確な基準があるものがほとんどです。「春一番」の定義(近畿地方)は、1.立春から春分の間で、2.日本海を低気圧が通過し、3.初めて南寄りの強風(風速8m/s以上)を観測し、4.気温が上昇した時、が基本条件です。ただ、さらに条件があり、5.1から4が広い範囲(地方予報区くらい)で観測される、という必要もあります。今回は近畿の広範囲で見れば1~4の条件を満たさず、春一番は発表されませんでした。

意外とこの「広い範囲で」という条件が難しく、地方によって春一番が発表されやすかったり、されにくかったりがあります。近畿の場合はおよそ2年に1回の頻度でしか春一番は発表されません。実は、昨年も一昨年も発表がありませんでした。1989年以降では、3年続けて発表がなかったことはありませんが、5年中4年で発表がないということもあり、今年はどうでしょうか。一般的に、地域的に平野が卓越している関東や、南風が山越えで吹き下りやすい北陸では発表されやすく、山岳と平野の入り混じった東海や四国では発表されにくいという傾向があります。「春」にも地域格差があるのです。

今年は2月も寒い日が多かった印象ですが、暖かい日は暖かく、京都の2月28日までの過去30日間では平年差-0.5℃で収まって来ました。そして本日1日発表の1カ月予報では、3月は平年より暖かくなる傾向がはっきりし、ここ最近不安定だった1か月予報もようやく桜までの道すじが見えてきた感じです。ただ目先の土日は平年より低い真冬の寒さで、寒暖差が大きいのもこの時期の特徴。花粉などと合わせて体調管理にご注意ください。

3月以降は順調に梅も咲いてきてくれそうですが、気になるのが桜の開花。民間3社の開花予想が出そろって来ました。京都の予想開花日は、日本気象協会が、3月26日(2/28発表 前回より3日遅くなる)、ウェザーマップが3月29日(3/1発表 前回より1日遅くなる)、ウェザーニューズが3月30日(2/18発表、本格発表は3/4)となっています。いずれも昨年の開花日4月3日よりも早く、ほぼ平年の開花日3月28日に近くなっています。

1月・2月と平年より寒かったのですが、実は桜にはこの寒さも重要で、冬の間に寒さにさらされることによって、蕾が成長に入るスイッチが入ります(休眠打破)。そして休眠打破以降の積算気温が一定に達すると開花となります。今年の場合はこの休眠打破が例年より早く、その分、気温積算の開始も早くなるため1月・2月が多少寒くとも平年並みに咲いてきてくれるだろうという算段です。3月は平年より暖かい見込みですので、少なくとも昨年のように遅くはならず、4月1週目には満開となってくるとの各社の予想です。

京都では各地に数本ずつ植えられている河津桜が最も早く、具体的には一条戻り橋、東寺の大師堂北、嵯峨野の清凉寺や知恩院の瓜生石の近くにもあります。その他、車折神社は早咲き桜の宝庫で、知恩寺のふじ桜、長徳寺のオカメ桜や鴨川のイボ桜などもソメイヨシノより早く咲き始めます。そして、近衛邸跡や祇園白川で枝垂れ桜が咲き始めると、いよいよ京都の桜シーズンが本格的に始まって来ます。3月30日に、らくたびさん主催の散策で早咲き桜を歩く散策を実施します。桜は「必ずどこかが咲いている」というコース設計をしていて、京都御苑では桃の花も咲くころで、さらに今年は遅い梅もまだ見られるかもしれません。うまくすれば桜+梅+桃という花を楽しめます。よろしければ是非、ご参加ください。

春は穏やかな印象がある一方で、災害の起こりやすくなる季節でもあります。特に火災のリスクが高く、春は空気も乾燥し、野山は落ち葉も多く、そこに強風が吹きやすい季節。以前ブログでご紹介しましたが、1788年に発生した京都最大の大火災・天明の大火は、現在の暦では3月7日のことです。火の元には十分ご注意ください。「春一番」も、春を告げるイメージが強い一方で、強風によって海は荒れ、そもそもは漁民の間で畏怖の念を込めて使われていた言葉でした。「春一番」は災害シーズンの幕開けを告げる言葉でもあります。春は天気も急変しやすく、そして落雷や雹、突風なども起こりやすき時期。今年もどうか一つでも災害が少ないことを願います。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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