上賀茂神社 競馬会神事 2013年

上賀茂神社 競馬会神事
5月5日に、上賀茂神社で葵祭の競馬会神事(くらべうまえしんじ)が行われました。

左方の乗尻この記事を書いている今は、既に葵祭の路頭の儀、すなわち15日の勅使や斎王代の巡行は終わっています。今年も御所や上賀茂神社などでその様子を眺めてきましたので、後日ご紹介する予定ですのでお楽しみに。葵祭は馬の神事が多いのが特徴で、下鴨神社の流鏑馬神事や、上賀茂神社の競馬会神事は人気を集め、15日にも下鴨・上賀茂両神社で馬を疾走させる走馬の儀がありました。

右方の乗尻実は5月5日の京都にはもう一つ馬の神事があります。藤森神社の駈馬神事です。こちらの様子は先日ブログでご紹介しました。藤森神社の1回目の駈馬神事は13時からで、上賀茂神社の競馬会神事で馬が駆けるのはは14時から14時半頃。一般的には、同じ日に両神事を見るのは不可能とされています。ただ、不可能を出来るだけ可能にしなければ、先輩ガイドとの差は埋まっていきません。というわけで、地下鉄と自転車を駆使して藤森神社から上賀茂神社へ35分で移動をし、それぞれの神事を眺めることに成功しました。自動車を使っても、これ以上の速さで移動することは不可能でしょう(笑)

競馬会神事 馬が駆ける上賀茂神社では、最後の3組を見ることができました。賀茂の競馬は平安時代の寛治7(1093)年、堀川天皇の時代に上賀茂神社で行われるようになりました。もともとは宮中で催された「端午の節会」の行事で、夏に向けて疫病が流行るのを防ぐため、薬効のある菖蒲で身を清め「菖蒲の根合せ」も行われました。

競馬会神事 子供警護隊「菖蒲の根合せ」は、菖蒲の根の長さを競うものですが、この勝負は左方(さかた)と右方(うかた)とに分かれて行います。左方は上賀茂神社に、右方は石清水八幡宮に勝利を祈願をしていました。実は宮中の女性が賀茂の神に祈願をし、実際に勝てたお礼として奉納したのが、賀茂社の競馬会神事の起こりです。菖蒲の根合せも現在5日の午前中に上賀茂神社で行われています。昨年ブログに書きましたので、よければご覧ください。

競馬会神事 スタートかつての賀茂社は全国20か所に荘園を持っていて、その各荘園から競馬会神事に各1頭が出されて勝負を行いました。いわば各荘園の代表の馬が集まって来ていたのです。今でも各荘園から馬が出されているという建前で、「○○の国 ××荘」と馬が呼ばれています。かつては競馬に勝てば、その荘園は豊作になると信じられていましたので、選りすぐりの名馬が走っていたのでしょう。また、菖蒲の根合せでは、賀茂の神に「左方」が祈願をしたため、競馬でも左方が多く勝つとその年は全体的に豊作になると考えられていました。

競馬会神事 2013年は左方の圧勝さて、競馬では最初の1組目の組み合わせは決まっており、左方が「美作国倭文庄(みまさかのくに しどりのしょう)」、右方が「加賀国金津庄」です。そして必ず左方が勝つように勝負が行われます。つまり五穀豊穣を願ってあえて左方を勝たせているのですね。(毎年負け続ける加賀国金津庄は少しかわいそうですが。)ちなみに、左方は赤い装束、右方は黒い装束をつけ、これは宮中を警護する近衛府の武官が着た舞楽装束です。

競馬会神事 疾走する馬競馬会神事は2頭ずつ計6組で馬の速さを競っていきます。2組目以降は、5月1日に行われた足汰式(あしそろえしき)の結果によって決まっています。足汰式の様子は、昨年ブログに書きましたので、合わせて読んで頂くとよいでしょう。スタート地点では2頭が並ぶのではなく、1馬身ほど差をつけてその差がゴール地点で開いたか縮まったかで勝ち負けを判断していきます。

勝利者は禄を受け取るスタート地点までゆっくり進んだ馬は、「おうた(合うた)」のかけ声で、一気に加速して駆け抜けていきます。観客からは大きな歓声が上がっていました。勝ち負けは扇で知らされ、赤が上がれば左方、黒が上がれば右方の勝利。装束と同じですね。勝負を終えた乗尻(のりじり:騎手)は、それぞれの見聞役の元へ出向いて勝ち負けを確認し、勝った乗尻は、賞として禄絹を鞭で受け取ります。実は勝負結果には「引き分け」もありで、今年は1組の引き分けがありました。そして6組の成績は・・・なんと5勝1分と左方の圧倒的勝利。こういうことも珍しいそうですが、この結果のように今年は大豊作となってほしいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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