先日、嵯峨野を訪れると早くも稲刈りが行われていました。案山子(かかし)が並ぶ田んぼも恒例となっています。
京都近郊で、最も長閑な風景が広がっているのは、広沢池周辺の嵯峨野だと思います。嵯峨野といってもその範囲は広く、野宮神社付近の竹林も「嵯峨野の竹林」と呼ばれますので、2-3kmほどの範囲はあるでしょう。辺りは「歴史的風土特別保存地区」に指定されており、土地の維持管理行為以外は現状変更が禁止されています。京都では山沿いを中心にこうした地域があり、景観の保存が行政をあげて行われています。
この日は大覚寺の観月に訪れたのですが、舟券を買ってから時間があったので、辺りをのんびりと散策してみました。ちょうど稲刈りが行われていて、豊かに実って頭を垂れた稲がコンバインで刈り取られていきました。中秋の名月で月に供えられるのはススキですが、このススキは稲穂の代わりです。まだ実らぬ稲穂の代わりに供えているのですね。嵯峨野の辺りは、稲刈りの時期が早いようで、今年は偶然にも名月と稲刈りの時期が一致していました。
酒に使うお米を作っているという田んぼの周りには、多くの案山子(かかし)も立てられていました。場所は広沢池の西で、交通量の多い道路に面しています。地元の小学生によって制作されているそうです。毎年、案山子を見ますので、嵯峨野の初秋の風物詩として定着しているのでしょう。
田園風景の奥には愛宕山も見えています。「のどか」という言葉がぴったりの風景ですね。京都もほとんどが都市化していますので、こうした風景がこの先も残っていってくれるのは大変貴重なことだと思います。この田んぼの稲もやがて収穫されて、案山子も役目を終えそうです。
広沢池の出島(観音島)のベンチに寝転がって本を読んでいると、すぐ隣で釣りをしていた小学生の子どもたちが魚を何匹もつり上げては歓声を上げています。そこへまた別の小学生がやってきて、「あっちで大きなフナを釣った!」とこちらもハイテンションです。そんな様子を見ながら、自分が小学生だった頃のことも思い出させてもらいました。たまにはこうして時間を忘れるのもよいものですね。
いちおう書いておきますと、広沢池の出島にある十一面千手観音の石仏は、木食上人但称(一般的には但唱)によって彫られたもので、仁和寺の横にある蓮華寺に祀られる五智如来像と同じ作者です。個性的な作風をしていますので、両方を見たことのある方はすぐに気がつくことでしょう。今でも地元の方に信仰されている石仏です。
さて、広沢池一帯はのんびりとした時間を過ごしたい時にお勧めです。レンタサイクルや、人力車でも来ることができますので、機会があれば足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。
昨日高雄ドライブウェイの帰りに嵯峨野を初めて通り、いろんなかかしが立っているのを見ました。「わ、何あれ!ジバニャンがいる」と子どもたち大喜び。帰って早速「嵯峨野 かかし」で調べてこちらに行き着きました。
大変のんびりした素敵なところで、京都の町からすぐのところにこんな秘境が残されているとは知らず、驚きました。また広沢池の美しいこと!なるほど特別保存地区なのですね、勉強になりました。地元の方には負担もあると思いますがこんな美しい地区を残してくれてありがとうと言いたいです。
今度は是非レンタサイクルでこの辺りを回ってみようと思います。楽しい情報をありがとうございます。
うたこさん
返信が遅くなり、失礼いたしました。
広沢池の周辺は本当にのどかな美しい風景が残っていますね。紅葉や桜など、四季折々に美しい場所で、私も大好きです。ぜひまた天気の良い日に足を延ばしていただけますと、京都ファンの一人として嬉しく思います。