綾戸國中神社 駒形稚児ゆかりの神社

綾戸國中神社
今回は、久世にある綾戸國中神社をご紹介します。祇園祭の駒形稚児ゆかりの神社として知られています。

綾戸國中神社綾戸國中神社は「あやとくなかじんじゃ」と読みます。祇園祭について詳しくなると必ず出会う神社名です。神社は南区の久世にあり、最寄駅はJRの桂川駅。駅で降りて東へ5~6分程歩いた場所にあります。すぐそばには新幹線の高架も通っています。古くは綾戸社と國中社の2社に分かれていましたが、戦国時代に國中社が綾戸社の境内に移され、それ以来、綾戸國中神社と称するようになりました。神社の境内地は新幹線の建設に伴って東に移転をして、現在に至っています。

綾戸國中神社國中社のご祭神はスサノオノミコトです。ご神体は馬の形をした彫り物「駒形」で、ご神体として一般的な鏡や剣、石などとは異なる珍しいもの。神社によれば全国でも唯一とのことです。社伝では、その由緒が以下のように伝えられています。その昔、神代の頃、久世(訓世)の郷がまだ一面湖水の時、スサノオノミコトが天から降り立って、水を切り流して土地を開き、広々とした平野を作りました。そして、その國の中心と思われる所に「符」を遣わします。「符」とは、スサノオノミコトが愛馬である「天幸駒」の頭を自ら彫刻し、新羅に渡海する前に形見として遣わしたものなのだそう。この、スサノオが自ら刻んだという馬の形をした「符」=「駒形」が國中社の御神体とされているのです。

駒形稚児また、綾戸國中神社は、八坂神社の疫病鎮めのお祭りである祇園祭に「久世駒形稚児」を遣わす神社として知られています。久世(訓世)の郷から祗園祭に供奉する稚児は、胸に御神体である駒の頭の彫刻をかけることから「駒形稚児」と呼ばれています。まさに國中社のご神体をかけ、そこにスサノオノミコトが宿っているのですから、駒形稚児は神(スサノオ)そのものと見なされ、馬に乗ったまま八坂神社の南楼門から入ることが許されています。長刀鉾の稚児でも、南楼門で下馬をして境内は徒歩で歩きますので、駒形稚児がいかに特別な存在であることがわかるでしょう。

八坂神社に馬のまま入る駒形稚児八坂神社のご祭神と國中神社のご祭神はいずれも同じスサノオノミコトですが、八坂神社のスサノオは穏やかな性質をもった和御魂(にぎみたま)で、一方の國中社のスサノオノミコトは、荒々しい性質をもった荒御魂だとされます。このように異なる性質を持つ神が合わさることによって、はじめて祭りが無事に催行できるとされました。すなわち、國中社から駒形稚児が到着しなければ、祇園祭は行うことすらできず、疫病が京都中に蔓延してしまうと考えられていたのです。

綾戸國中神社現在もこのしきたりが受け継がれ、7月17日の神輿の巡行に先立つ13日には、駒形稚児の社参が行われています。また、17日と24日の神輿渡御では、スサノオノミコトが乗る中御座神輿の先導を駒形稚児が務めます。祇園祭の由緒や、神幸祭の様子は今年ブログに書きましたので、よければご覧になってみて下さい。

綾戸國中神社さて、綾戸國中神社は普段はひっそりとして、よくある一般的な神社の雰囲気です。拝殿の奥に、綾戸社と國中社が一つ屋根のお社の中に祀られています。綾戸社は桂川の祓いの神で、災いごとを払ったり鎮めるご利益があります。ご祭神には、災いをもたらす大綾津日神(おおあやつひのかみ)と、災い鎮めて福に転じさせる大直日神(おほなほびのかみ)と神直日神(かみなほひのかみ)とがペアで祀られています。桂川は水害をもたらす暴れ川でしたので、人びとの信仰も篤かったでしょう。

綾戸國中神社大綾津日神は、禍津日神(まがつひのかみ)と同一神格とされ、幕末の国学者・平田篤胤(あつたね)によると、禍津日神もスサノオの荒御魂とされました。なかなか興味深いですね。綾戸國中神社のお守りには、駒形が描かれたものもあり、なんと駒形稚児が乗った馬のたてがみが納められているそうです。交通安全、勝負事、動物愛好、疫病除け等にご利益があるそう。神社のホームページからも入手することができます。綾戸國中神社は、なかなか訪れる機会がない場所かと思いますが、お近くに行くことがありましたら足を延ばしてみて下さい。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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