北野天満宮は、豊臣秀吉が境内で開いた北野大茶会(大茶湯)で知られています。境内には太閤井戸と呼ばれる、その時使われたという井戸が残り、大きな石碑も建っています。北野大茶会は、秀吉が九州を平定した直後の天正15(1587)年に開催されました。茶の湯を好むものは身分や国籍を問わず参加が許され、農民から出世をした秀吉らしい茶会です。
当代きっての茶人である、千利休、津田宗及、今井宗久らも茶席を設け、秀吉自身も組み立て式の黄金の茶室を運び入れて、くじに当たった者に自ら茶を点てたと伝えられます。境内には1500余りの簡素な茶室も並んで、各々自慢の茶器を持参して茶を楽しみました。この茶会は当初は10日間の開催予定でしたが、肥後国で一揆がおこったため、1日限りで終了しました。
平成の北野大茶会は、茶に関わる人や団体が集う「全国お茶まつり京都大会」に合わせて、京都府や茶業団体でつくる実行委員会が企画し、秀吉が北野大茶会を開いた境内を会場にして行われました。絵馬所では北野大闘茶会が催され、品質の異なる茶葉を見比べた後、それぞれの茶を頂いて、味や香りの違いで、どの茶葉で入れたかを当てて行きました。新聞記事によると、1キロ2万円の玉露や、同じく1500円の荒茶など5種類を判定していったそうです。
私は、宇治抹茶の体験教室に参加してみました。抹茶のたて方を日本茶インストラクターの方が教えて下さいます。参加費も200円とかなりお手軽で、人気を集めていました。私も自分でお茶をたてた経験がほとんどないため、茶筅が思うように動いていきません(笑)日本茶インストラクターの方の手早い動作は、日ごろの稽古のたまものなのでしょう。
頂いたお抹茶も大変おいしく、多くの参加者で賑わう境内を眺めながら、秀吉の開いた茶会を偲ぶことができました。境内にはいくつもの茶店の露店も出て、お茶を買って帰ることもできました。なかなか面白いイベントでしたので、また来年以降も開催されるとよいですが、今回は15年ぶりに「全国お茶まつり」があったためとのことで、どうなることでしょうか。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。