3月3日に、上賀茂神社で流しびなが行われ、園児や巫女さんが境内の渉渓園(しょうけいえん)で、紙や桟俵に乗った雛を流しました。
京都の雛祭りでは、昨日ご紹介した「下鴨神社の流し雛」が有名ですが、上賀茂神社でも流しびなの行事が行われています。下鴨神社も園児が来て雛を流しますが、観光客も多くかなり混み合います。一方、上賀茂神社の流しびなは、「地元の園児のための行事」です。園児一人一人が紙で作られた雛を流し、数が余れば一般の方も参加できるという仕組み。下鴨神社のように雛の販売はありませんので、基本的には「見学」という形で見守りましょう。今年はたまたま3月3日に行われましたが、日は年によって変わるため、よくご確認ください。
流しびなは、ポスターなどで時間も告知されていますが、実際には園児たちの動きによってかなり時間が前後します。今年は30分遅れで進行しました。行事はまず神事から始まります。子どもたちは、頭にお内裏様(男雛)とお雛様(女雛)をイメージした手づくりの冠をかぶって、華やかな羽織を着ています。お祓いを受ける際などには、神職さんが丁寧に子どもたちに作法を説明していたのが印象的でした。
本殿前に入って神事を受けた園児たちは、境内東にある「渉渓園」に入ってきます。ここで、もう一組の園児も加わって、まずは交通安全教室が始まります。参加している園児たちは、4月から小学生になる年長組で、自分たちだけで登校するようになります。車の危険や横断の際の注意点を教えるために、交通安全協会の皆様が人形劇を演じて、子どもたちにも楽しく分かりやすく伝えていました。
続いて、園児による歌が披露されました。下鴨神社と同じく元気いっぱいに歌う様子が微笑ましいです。この日は、園児の親御さんも大勢来られていて、歌を見守っていました。歌が終わると、いよいよ雛を流します。子どもたちが流すのは、水に溶ける紙で作られたお雛様。浮かべてしばらくすると、溶けて沈んで行きます。こうした現代的なものもあるのですね。
雛は園児たちが二人ずつ順番に流していきます。子どもが誤って小川に落ちないように、ちゃんと巫女さんが体を支えながら、子どもたちは川に浮かべて行きました。やはり流れて行く様子を見るのも楽しいようで、溶けて行く雛にもテンションが上がっていました。お母さんが来ているのも嬉しかったのかもしれませんね。
園児たちが一通り流すと、巫女さんによって、下鴨神社と同じく桟俵(さんたわら)に乗った雛を流します。乗っているのは下鴨神社よりも簡素な紙の雛です。こちらは水に沈むことはありませんので、やはり風情は感じます。ゆるやかに流れて行った桟俵は、最後に回収されていました。桟俵の雛は4つ~6つほど流されていたと思います。
最後に、余った紙の雛を一般の方の希望者が流すことができました。園児以外の子どもたちや大人の女性も雛を流していき、希望者がいなくなると、行事は終了です。上賀茂神社の流しびなは地元の園児たちのための行事で、子どもたちの元気な姿が印象的。時間も緩やかですので、タイミングが良ければご覧になってみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。