知恩院の友禅苑のしだれ桜が見ごろを迎えています。苑内は比較的人が少なく、賑わう東山にあって穴場の桜です。
友禅苑は友禅染の始祖・宮崎友禅の生誕300年を記念して、昭和29年に改修造園されました。東山の湧き水を引き入れた庭園と枯山水の庭園とで構成された昭和の名園です。苑内には茶室・華麓庵と白寿庵があり、緑の多いのも特徴。池の周りは、秋の紅葉も美しい場所です。春の桜は佇まいが美しく、私も大好きな桜。今年もつい先日、眺める機会がありました。
宮崎友禅は知恩院の門前に居を構えたといわれる扇絵師で、江戸時代に活躍しました。扇の絵柄が評判を博し、やがて着物にもその模様を提供するようになります。宮崎友禅本人が染色までを行っていたかは定かでなく、図柄のデザイナーとして活躍したといわれています。手描き友禅染では、細やかな紋様や鮮やかな色彩を出す為、その行程の数は26にも及ぶそう。大変な手間を要する高級品でした。その技法に革命をもたらし、量産化への道を開いた広瀬治助については、以前のブログに少し書きました。かつては鴨川や堀川で友禅染を水にさらす光景があったそうですが、現在は「京の七夕」などのイベントで、再現されたその様子を見られる時もあります。
友禅苑は桜で名高い円山公園にも近く、知恩院の三門のすぐ脇にあり、通称、男坂や女坂と呼ばれる坂を登る必要もありません。拝観料は300円必要ですが、その分人が少なく、ゆっくりと桜を楽しめる空間です。昨年まで桜の下にあった木の台は無くなっていましたが、歩きながらでもじっくりと桜を堪能できるでしょう。
友禅苑の桜越しには、知恩院の三門を包む様子を望むことができます。知恩院は浄土宗の本山で、その入口にそびえる立派な三門を華やかに飾る見事な桜。特に晴れた日には美しいこと、この上ありません。人の多い時期だからこそ、美し桜を静かに眺めることができるオアシスのような場所が友禅苑です。お近くに行かれた際には、是非入ってみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。